内容説明
時は明治期。戊辰戦争の余燼も冷めやらぬ会津の地から、ひとりの若者が上京してきた。五尺に満たない小兵ながら、その天賦の才を講道館創始者嘉納治五郎に見出された彼は、柔道の修業を始める。独自の技「山嵐」を編み出し、講道館四天王のひとりに数え上げられるほどになるが、かねてから夢を馳せていた大陸への渡航を決意する。『姿三四郎』のモデルとなった天才柔術家西郷四郎の壮烈なる半生。
著者等紹介
今野敏[コンノビン]
1955年生まれ。上智大学文学部在学中の78年、「怪物が街にやってくる」で第四回問題小説新人賞を受賞。SF、伝奇アクション、ミステリなど幅広い分野で活躍。空手道「今野塾」を主宰する武道家でもある
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感想・レビュー
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ntahima
32
姿三四郎のモデルとして知られる講道館創成期メンバー西郷四朗を題材とした実録小説。私が初めて三四郎を知ったのは竹脇無我主演のテレビドラマだった為、三四郎≒四朗=二枚目との印象があったがそうでもないようだ。福山雅治『龍馬伝』で育った世代は坂本龍馬にも同じイメージを抱くのだろうか?それはさて置き、本書を読むだけでは西郷の強さがいまいち伝わってこない。沖縄空手≒武田惣角>西郷四朗みたいな図式か?寧ろ文武両道質実剛健の教育者という堅いイメージのあった嘉納治五郎がややKY気味に自分の夢をひたすら語り続けるのが笑えた2013/10/04
Dai(ダイ)
23
姿三四郎のモデルとなった講道館柔道の四天王と言われ山嵐を得意技とする保科四郎を主人公とした物語。他の小説で読んだこともある嘉納治五郎をはじめ、武田惣角や神槍 李書文等有名な武術家が大勢登場するのが楽しい。若さ故に講道館を飛び出し破門の身となるが、晩年に和解するシーンには目頭が熱くなった。2017/02/17
C-biscuit
15
図書館で借りる。姿三四郎のモデルである西郷四郎の話である。山嵐というタイトルからもわかるとおり、四郎の代名詞となる技であり、四郎の身体的特徴が必要でもあった。全く知らない状況で読んだので、一生講道館で研鑽していたのかと思ったが、朝鮮や中国にもわたり、新聞記者としても活躍していた。その部分の話も多い。もっとも根底に柔道家というか武道家の考え方があり、読み応えがあった。著者らしく武田惣角が頻繁に出てきたのも良かった。あとがきが、柔道家の吉田秀彦氏であったが、できれば武田惣角の憂いについてコメントが欲しかった。2019/08/17
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11
姿三四郎のモデル、西郷四郎の話。柔道の話がメインか思いきや、講道館を辞めてからの話が多かった。武田惣角と稽古したり、神槍李書文と戦うのはドキドキしたね、松田さん原作の漫画『拳児』思い出した。まあ虚構だろうけど。最期の言葉が『楽しかったなぁ』ってことは悔いの無い人生経験だったんだろうね。嘉納治五郎と和解出来たのも良かった。面白かった。 2017/09/02
出世八五郎
7
西郷四郎の小説。評伝ではないと思う。彼がただ柔道一筋に生きたのではなく、大陸に渡ることをも夢見た現代と変わらぬ若者として描かれている。ラストが感動♪・・・誰もがこうでありたいと思うし、こうゆう風に迎える大人でありたい。
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- 和書
- 少年の君 新潮文庫