内容説明
投資会社のオーナー掛井純一は、何者かに殺され、幽霊となって甦った。死の直前の二年分の記憶を失っていた彼は、真相を探るため、ある新作映画への不可解な金の流れを追いはじめる。映画界の巨匠と敏腕プロデューサー、彼らを裏で操る謎の男たち。そして、一目で魅せられた女優との意外な過去。複雑に交錯する線が一本につながった時、死者の「生」を賭けた、究極の選択が待っていた―。
著者等紹介
石田衣良[イシダイラ]
1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。広告制作会社勤務後、コピーライターとして活躍。97年「池袋ウエストゲートパーク」で第三六回オール読物推理小説新人賞受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りゅう☆
99
空から見た光景は殺された自分が埋められてる場面だった。辛い場面ばかりフラッシュバックした短かった人生。だが死ぬ前2年間の記憶がすっかり失われていた。なぜ自分は誰に殺されたのか?真実を知りたい。また文緒に恋をした純一は彼女を助けるために訓練によって視覚化、音声化を可能にする。そして徐々に明らかになる空白の2年間の出来事。黒幕は予想通り、だが殺した犯人の動機がイマイチ分からず。読みやすさあって一気読みの面白さもあったけど、結末はこうなるだろうなとは容易に推測。でも安堵感ある石田さんの作品がまた読みたくなった。2017/12/03
優希
70
何者かに殺された場面から始まるので、これはゴーストものなのかなと思いきや、その通りでした。幽霊として甦った純一が自分の死の真相を探っていく物語。死後の世界を前向きに生きようとする純一が印象的でした。2年前の無くした記憶の訳、純一の子を妊娠している文緒が伝えたかったこととは。全ての謎の真相があまりに切な過ぎました。優しい色と匂いが漂い、胸が締め付けられます。2015/03/19
さっとん
66
ミステリー、SF、ホラー、恋愛といった色んな要素を詰め込んだ作品で退屈することなく読めたのですが、その割に少しインパクトに欠ける感じでした。 登場人物に関しても主人公を筆頭に突き抜けた感じのキャラがおらず、悪人たちの優しさや良いところも見せようとする感じには違和感を覚えましたが、文体としては読みやすいし後半のからラストにかけての展開はハラハラして楽しめたのでそれなりに満足です。2019/01/10
魔王
40
久しぶりに読みたくなり読みました。石田衣良の初期の作品のため定番となる服装や東京の紹介等が少なかったです。自分がこうなったら何をするかなと考えながら読んでました。タイトルを読むとどうしてもB'zの曲が流れてしまいます。最後は引き込まれたのでよかったです。2015/11/18
はっぱ
32
死の瞬間から、過去を瞬間瞬間辿り、幽霊となって死後の現在の時間に戻って来た純一の行動が面白かった。謎解きが始まった辺りから、どんどん面白くなってきた。死の直前の記憶の無い空白の二年間。ラスト、謎は解けたけど、複雑な心境のラストだった。でも多分全ては、あれで良かったのだろう。純一にとっても文緒にとっても。純一の出した決断の全ては、純一の心に流れ込んで来た地を這うシロツメクサの感情だった。「ただ今を生きたい、もっともっと生き続けたいという、素朴だが強烈な思い。」純一は、人の心の悪意も善意も全て受け入れて凄い。2018/05/06