内容説明
「AV界のゴダール」と呼ばれたピンは数々のアダルトビデオ(AV)を撮っている。この業界に入って8年、時には犯罪スレスレの仕事も。そんな折り、かつて忽然と姿を消した先輩がインドから送ってきたフィルムを見て、これは日本アダルトビデオの細いペニスがどろどろのアジアに突き刺さった姿だと思い至る。ユーモアを交えカラッとした筆致で「性」と「愛」の奥底を追い極めた異色作。
著者等紹介
高橋源一郎[タカハシゲンイチロウ]
1951年広島生。灘高から横浜国立大学進学。81年「さようなら、ギャングたち」でデビュー。88年「優雅で感傷的な日本野球」で第一回「三島由紀夫賞」受賞
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感想・レビュー
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ちぇけら
14
アダルトビデオで性を…生を、いや、死を描こうとしているのなんて、ゲンイチローさんぐらいなんじゃないの?脈絡のないように感じる、アダルトビデオにたずさわる人々の描写。アホくさ、陳腐なエロ本やん。なあ、ちょっと待って。気づくとぼくの胸のなかには、生きていることと死んでいくこと、誰かを愛することが波打っているんだ。「いくら抑えようとしてもやりたくなると勝手に勃起してしまうちんぽこを男は見つめなければならないし、気持ちよくなると勝手に濡れてしまうおまんこを女もまた見つめるべきではないかと思うだけなのだ。」人生だ。2018/05/29
明石です
3
「AV界のゴダール」の、魑魅魍魎が跋扈するアダルトビデオ世界の撮影奇譚。面白すぎて夢中で読んだ。さすが源一郎氏だなあ。最近の大人な感じのご本も良いけど、こういう破茶滅茶やってるときの著者はもっと輝いてる。2023/10/29
zzz
1
ストーリーはないけども、面白い2017/07/14
giant_nobita
1
AV業界の人々がしゃべってる言葉をそのまま使ったんじゃないかと思えるほど口語のリアリティーのある文体はしかし、人間的な深さを描いていないという非難を免れないだろう。高橋源一郎は知的な人だから、何も考えず軽く書いているんじゃなくて「あえて」そうやってるんだろうけど、それが鼻につく人もいるだろうし、うーん、人を選びそう。私にはこの小説は「関係」ではなく「出来事」が大きな意味を持つ現代社会を書いたものに思えた、そういう意味ではケータイ小説に近いかもしれない。2012/02/01
祐紀
1
最後、エピローグはぐっとくるものがあった。あとは終始笑いっぱなし、ばかばかしくて、本来の意味が解体されていく感、まさにポスト・モダン。2011/08/22