内容説明
武田惣角。触れるだけで相手を投げ飛ばす、大東流合気柔術の祖である。「進む道は武芸なり」の信念のもと、武士の世が終焉を迎えた維新後もひたすら修行に励む。のちの講道館柔道の創始者・嘉納治五郎との対決を機に、惣角の流浪が始まる。西郷隆盛との邂逅、琉球空手の使い手・伊志嶺章憲との命を懸けた闘い。合気の道を極めんとする男の壮烈な青春を描く、明治格闘小説。
著者等紹介
今野敏[コンノビン]
1955年生まれ。上智大学文学部在学中の78年、「怪物が街にやってくる」で第四回問題小説新人賞を受賞。SF、伝奇アクション、ミステリなど幅広い分野で活躍。空手道「今野塾」を主宰する武道家でもある
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感想・レビュー
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ntahima
34
武田惣角の名前を初めて知ったのは夢枕獏の『東天の獅子』だった。本来の主役たる講道館創生期の猛者連中を完全に喰った圧倒的存在感を感じたが何しろ夢獏特有のマンガ的筆致の為、何処までが真実で何処からが創作なのか分らない。いつか他の本でクロスチェックしなければと思っていたところ題名もそのままの本書を見付け、類書3冊と共に慌てて購入。エピソードがかなり重なっているので一応大筋では史事に基づいているようだ。最後は50人相手の乱闘の最中に唐突に終る。これはさすがに伝説で11人が事実に近いようだ。次は西郷四郎の『山嵐』!2013/09/30
ちょき
33
明治になり武士から武道家となった武田惣角の流浪と修行の物語。武士として立身出来ない世に足掻くところはまさにラストサムライ。作家の熱意と研究の賜物か、歴史考証もあり、ほぼドキュメンタリーとしても読むことができる。西郷隆盛や、柔道の祖、嘉納治五郎も重要な局面で登場し色を添えている。時代に流されつつも、自らの侍としての矜持を捨てることなく生き続けた男の浪漫を見た。2016/09/03
姉勤
31
合気道の創始、植芝盛平の師にあたる武田惣角の半生記。ネタバレ的には打ち切り漫画のように幕を閉じるので、トータルな人物伝を知りたいなら津本陽著「鬼の冠」を。自身も空手家の著者によるため描写は臨場。他流の柔術を統合し、ポピュラー化を目指す「柔道」を興す嘉納治五郎や、琉球空手の祖流「手(ティ)」の使い手との異種格闘技的面白さ。本来、殺人のための総合科学である武術を、その義務を担う武士という役割が廃れた世での存在意義を、ネガポジの立場で登場する嘉納治五郎との対立と共感のアンビバレント。気が合わない相手との合気。2024/03/07
jima
18
明治時代に実在した武術家武田惣角を描く。柔道の創始者嘉納治五郎も登場。面白かった。2020/09/02
このん
13
(2019年10月20日4917)武田惣角のお話。今野敏さんの本なので読んだけど、武道家のお話もまあ面白いけど、やっぱり警察小説が読みたい!!2019/10/20
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