内容説明
青年ジローは出発した。アメリカ大陸を遍歴して、黒人の宇宙飛行士ジム、日系女性のレイ、不思議な天文学者たちと出会い、混血のネイティヴ女性と恋に落ちる。やがてジローは、中米で闘う先住民支援のためカリブ海を密航していく。密林の戦場をさまよい、極限を潜りぬけ、アメリカの空港に降り立った時、ジローを迎えたのは意外にも…。神話世界から、科学、哲学、エロスを統合しようと試みる「文芸復興」のための一冊。
著者等紹介
宮内勝典[ミヤウチカツスケ]
1944年ハルビン生まれ。79年「南風」で文芸賞受賞。81年「金色の象」で野間文芸新人賞受賞
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感想・レビュー
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らぱん
42
①異能のために歪な成長を遂げた青年の冒険譚は生命の起源から宇宙の彼方までの壮大な時空を跨ぐ。わたしが存在する<いまここ>に対しての永遠性を提示し、わたしの世界をあらしめる存在を考えさせる。眼球とは光を感知したいという<意識>が脳を変形させ外部に露出した部分であるらしい。この<意識>は個や種のものか。つまり脳を露出させるリスクを背負ってまで、わたしは世界を視覚で認知したかったのか。青年は絶対者を明確に知覚しながら、目前に迫る圧倒的な物理性を持つ事象に重ねてその意味と関係を考える。実在は実在するのか。↓2019/11/03
sabosashi
5
極小の世界から極大の果てまでも網羅したいという欲望に身を焼かれるようにして、宮内勝典はこの作品を綴ったのにちがいない。 原始の始まりから宇宙の果てまで、ひとつの頭のなかにすっぽり納めてしまっている。 そんななかでわたし(たち)はどこにいるのか。 もはや、わたしはいま、ここに、いるわけではないということになる。 わたしたちは、大いなる生の流れを成り立たせる卑小な一部分でしかない。 ある程度は、わたしたちはどこから来てどこへ行くのか、イメージを抱くことができる。 2015/04/27
ophiuchi
4
図書館の古い単行本(1998)についていた帯の「日本語で書かれた世界文学」に惹かれて読んだ。2012/01/03
たけ
0
★★☆☆☆ かなり手こずりながらも、一応、読了。 読みながらも、この記述いる?このパート必要?そんなことばかりが気になって、物語に没頭できず。 「元」超能力少年の入りは期待感があったのだけれど。。。2023/08/18
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