内容説明
極道小説で売れっ子になった作家・木戸孝之介は驚いた。たった一人の身内で、ヤクザの大親分でもある叔父の仲蔵が温泉リゾートホテルのオーナーになったというのだ。招待されたそのホテルはなんと任侠団体専用。人はそれを「プリズンホテル」と呼ぶ―。熱血ホテルマン、天才シェフ、心中志願の一家…不思議な宿につどう奇妙な人々がくりひろげる、笑いと涙のスペシャル・ツアーへようこそ。
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
51年東京生。「地下鉄に乗って」で第16回吉川英治文学新人賞、97年「鉄道員」で第117回直木賞、00年「壬生義士伝」で第13回柴田錬三郎賞受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ろくせい@やまもとかねよし
528
ジョーク、テンポ、そしてほろりとするドラマが込められた落語のような物語。人間社会が創出する必要悪を皮肉的に表現する。舞台は通称プリズンホテル。ホテルは人間個人が抱く多様な苦悩に寄り添うが、集う強烈な個性の人たちは破天荒に絡み合う。非日常と自覚しながら読み進める。特に強烈な利己を発する極道小説家には嫌悪感で一杯。しかし、微妙な現実味をさらりと醸す描写に引き込まれ、その結果憎めない極道小説家が頭に焼き付いた。任侠が重んじる「愚痴を言わない」「見栄をはらない」「嘘をつかないこと」が心に沁みる。秋も楽しみだ。2020/02/08
鉄之助
435
リアリティ溢れる、セリフの数々に参った! 「シャバに出てみたら、代紋がなくなっちまってましてね。まったく何のために懲役かけたんだかわかりゃしません。笑い話ですわ」。「毎日これだけ修業したから、今のおめえがあるんじゃないか。親の言いつけにまちがいはねえんだ!」などなど、グッとくる。 短編に味がある、浅田節の記念碑だ。2024/11/22
HIRO1970
409
⭐️⭐️⭐️浅田さんの久々のピカレスク作品。流石にこれは他の人には真似が出来ない著者ならではの作品です。味があります。極道と幽霊が両方出てくる作品は今まであったとは思えません。最高に楽しめそうなエンターテイメント作品が長編でまだまだ続きがある事に喜びを禁じ得ません。もう映画化されているのでしょうね。皆さんにオススメします。2015/10/02
ehirano1
362
楽しかったぁ。なんだか三谷幸喜さんの喜劇を観ている感じでしたが、任侠が入るとやっぱり浅田次郎さんなだなって思います。というか、任侠の書き方と活かし方がとっても巧いです。泣き笑い小説、十二分に楽しみました。そして、ちと怖いですけど、行ったみたいですプリズンホテル!2023/01/09
三代目 びあだいまおう
319
任侠団体専用ホテル、通称『プリズンホテル』不思議な宿につどう奇妙な人々が繰り広げる笑いと涙のスペシャルツアーへようこそ。と背表紙にあれば極道物フリークの私は過剰な期待をする。満を持した積読を崩しの1巻目!読み中はこのホテルに泊まりたいという我が欲望が脳内の狭い思考回路を占領してしまったようだ。複雑のキャラ達の想像外の動きや言動、展開がとっ散らかってついていけない。極道オーナーの甥、極道小説で一山揚げている作家の孝ちゃんの言動に終始イラつく!浅田作品が私に合わない訳がないと信じ、じっくり読むと決めた‼️🙇2020/04/10