出版社内容情報
パリ脱出を企てる国王一家の運命は──!?
ミラボーの病死により議会工作の術を失ったルイ16世は、ついにパリからの脱出を決意。スウェーデン貴族フェルセンの協力で、家族と共に逃亡の旅へ──。国王一家の運命は!?
(解説/池田理代子)
内容説明
王家に味方してきたミラボーが病死し、議会工作の術を失った国王ルイ16世。王族の亡命に神経を尖らせるパリの民衆に、別荘行きを力尽くで阻止され、にわかにパリ脱出を決意する。スウェーデン貴族フェルセンの協力で、王妃マリー・アントワネットと幼い王子、王女とともに、真夜中のテュイルリ宮から抜け出すが、逃亡計画は次第にほころびはじめ―。国王一家の運命や、いかに。緊迫の第7巻。
著者等紹介
佐藤賢一[サトウケンイチ]
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年『ジャガーになった男』で第6回小説すばる新人賞を、99年『王妃の離婚』で第121回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
50
いよいよルイ16世が本格的に登場してきました。ミラボーの死により議会との和睦もままならない状況に追いやられてしまったんですね。そしてヴァレンヌ逃亡事件。ここまで何の動きも見せなかったルイ16世の度量や決断力が凄いなと思います。国王のプライドをも取り戻しましたしね。それにしてもフェルセンがダメ男すぎませんか。一方路エスピエールの革命に革命をの動きも見られ始め、運命はどう転がるか緊迫してきました。2014/11/01
KAZOO
34
いよいよルイ16世の本格的な登場です。ミラボーの死によって議会との和解もままならない状況に陥ってしまいます。ここに書かれているのは解説者の池田理代子さんのまさしく「ベルサイユの薔薇」の時代の物語です。結末はわかっているものの、エンターテイメントとして読みやすく歴史の中に引き込まれます。2014/10/03
金吾
33
○フランス革命の変換点のひとつであるヴァレンヌ事件の部分が真に迫っています。この巻はルイ16世の独白による心理描写が秀逸だと感じました。どちらかというと感情が余り無い人という印象の人がこの独白によりかなり嫉妬や悩み、躊躇いといった人としての姿がイメージ出来ました。2021/12/20
Book & Travel
29
前巻までから雰囲気が変わり、この7巻は国王一家の国外逃亡未遂事件がルイ16世本人の目線で描かれる。これまでの革命と現状への本音が語られ、優柔不断で無能という印象があった王に、読書家で啓蒙思想に理解があり、意外な決断力と実行力、家族思いの一面があることが分かるのが面白い。逃亡計画を主導したフェルセンの駄目っぷり、次々生じる見込み違い。ハラハラする場面あり、フランスの田舎の人々の雰囲気も伝わり、臨場感あるロードノベルの趣に引き込まれ、一気に読んだ。ただ王の内面が分かると、今後の展開が一層辛くなるかも知れない。2024/09/13
特盛
27
評価4/5。人間ルイ16世の心が描かれる巻。決して愚鈍な王としてではなく、一人の父として、夫として。革命ひと段落後、憲法制定国民議会も一旦解散に近づく中でルイ16世は亡命を考えパリから逃亡する。この計画の企画はマリー・アントワネット。彼が賛同したのは、家族を守るためだ。ベッドにつく姿まで市民に見学される就寝の儀や国民からの罵詈雑言。革命の正義の下にないがしろにされている王に人権などない扱いだ。逃亡の短い道中にルイ16世は初めて自分で考え動き、自由を実感する。冒険小説さながらの緊迫で没入した2024/09/24