出版社内容情報
芥川賞作家が描く、生と死への希望
刑務官の「僕」は、18歳の時の殺人で死刑判決を受けた山井の担当になる。自分と似た部分を持つ彼に苛立ちと「何か」を感じるが……死刑制度と真摯に向き合う意欲作。(解説/又吉直樹〈ピース〉)
内容説明
施設で育った刑務官の「僕」は、夫婦を刺殺した二十歳の未決囚・山井を担当している。一週間後に迫る控訴期限が切れれば死刑が確定するが、山井はまだ語らない何かを隠している―。どこか自分に似た山井と接する中で、「僕」が抱える、自殺した友人の記憶、大切な恩師とのやりとり、自分の中の混沌が描き出される。芥川賞作家が重大犯罪と死刑制度、生と死、そして希望と真摯に向き合った長編小説。
著者等紹介
中村文則[ナカムラフミノリ]
1977年愛知県生まれ。福島大学卒業。2002年『銃』で新潮新人賞を受賞してデビュー。04年『遮光』で野間文芸新人賞、05年『土の中の子供』で芥川賞、10年『掏摸』で大江健三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 6件/全6件
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
抹茶モナカ
690
思春期に真下のように観念的雑感をノートに書いていた事を思い出した。中年になるまで実家に保管してあったけど、捨ててしまった。この小説は、思春期のモヤモヤした感覚を思い出させる。芸術作品が万人に開かれたものだ、として、生きるよすがとして提出する。思春期に出会いたかったような気もしつつ、思春期を通り過ぎないと理解できない作品のような気もする。サルトルやら、ベケットやら、思春期に紹介されても、良さはわからなかったろうし、周囲にも解説してくれるメンターもそういないだろうし。何となく幼い純文学。2014/01/05
zero1
628
死刑を絡めて中村が人間を描くとこうなる。施設で育った刑務官が主人公。夫婦殺害で死刑判決を受け控訴しない山井。彼の心を開かせることができるか。懊悩をノートに記す真下。主任が語る死刑の曖昧さと矛盾。恩師が語る芸術に触れる意味。そして自分がこの世に存在する奇跡。200ページに満たない長さだが、訴えているテーマはとても深い。解説は又吉直樹。中村を「執拗に人間の暗部や実態に正面から向き合い・・・」と評している。暗く重苦しいのが中村作品の特徴だが、私は本書に希望を見た。人を生かすのは人。再読する価値あり!の一冊。2019/02/28
馨
510
先に読まれた方々のレビューを拝見していたので、多少覚悟はして挑んだ本作品でしたが、本当に一部始終どんよりとした内容で重く暗く、少ないページ数にも関わらず時間がかかりました。命と犯罪者本人とは別物、等私には難しいテーマに思えました。まだ早かったかな?と思ってしまう作品でした。2018/11/25
青乃108号
470
何もかも憂鬱にになりそうなタイトルに腰が引けていたメンヘラの俺。やっぱり読むんじゃなかった。重くて暗くて救いのない内容で、何もかも憂鬱になった。困った事になった。2021/09/07
ミカママ
450
えぇぇ、あたしダメだよこういうの、泣けちゃうよ。読み友さんたちが「難解」「合わない」ておっしゃってたので、恐る恐る手に取った作品。全体を覆う、暴力、セックス、そして孤独。あたしはやっぱり芥川賞作家さん向けの読者なのね。←自画自賛。「今のあなたが無事なら、それを1日ずつ続ければいい」人生に苦悩するあなた、絶対読むべきです。2016/04/03