出版社内容情報
日本とパリを舞台に描かれる大河小説。
茉莉ちゃんは恋人でも妻でもないのに、ぼくの心の片隅にいつづけてくれました。不思議だね――。60年、博多に生まれた少年・九と幼馴染みの少女・茉莉。多くの人々と出会いと別れを繰り返す。
内容説明
1960年、福岡。九はやくざ者の父とその愛人の子として生まれる。祖父母に預けられた彼は、隣に引っ越してきた同い年の茉莉とその兄、惣一郎と共に育つ。奔放で天真爛漫な茉莉に想いを寄せ、聡明で男気のある惣一郎を実の兄のように慕う九。しかし、突如会得した不思議な力と、惣一郎の死が運命を大きく変えてゆく。生涯にわたる愛をテーマに、江國香織との共作に挑んだ一大長編。
著者等紹介
辻仁成[ツジヒトナリ]
1959年東京都生まれ。89年『ピアニシモ』ですばる文学賞を受賞。以後、作家・詩人・ミュージシャン・映画監督と、幅広いジャンルで活躍。97年『海峡の光』で芥川賞、99年『白仏』のフランス語翻訳版「Le Bouddha blanc」で、フランスのフェミナ賞・外国小説賞を日本人として初めて受賞。現在は拠点をフランスに置き、創作活動に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mura_ユル活動
104
辻仁成さんは初読。主人公祖父江(そふえ)九、幼少期から幼なじみやヤクザの父親など幾度の死を経験、スプーン曲げや予知夢の能力を持つ。家族とは何なのだろうを考えさせる。福岡平和台。一人旅に。阿蘇、沖縄。インドカルカッタで少女を救う。バグダッド、カッパドキア、フランスパリでネネと出会い、阿弥が生まれる。そこでも不幸が待っていた。下半身に関する内容多し。【家読み】自分の家読みのスタイルは、読んで噛み締めること。声を出して「へぇー」「えー」。そんなことが特に多かった書のひとつ。下巻に進む。2020/04/09
優希
65
取り巻く環境が複雑なうえ、不思議な力を身につけた九。世界に翻弄されながら、様々な人と関わりながら成長していく姿が見ていて辛かったです。幸せも不幸も九の持つ力があるからでしょう。SEXの描写が多いのに苦手意識を感じましたが、物語自体は繊細なものだと思いました。下巻も読みます。2020/06/26
オリーブ子
61
九サイド、パリで事故までの話。…これじゃない感が満載。今さらだけど、私には辻仁成は合わない。 九は、左岸とはまったく別人。七さんも酷い。惣一郎も、イマイチ。 ユタに「オババ」とか、宮里(みやり)とか、片腹痛い。 買っちゃったから、続きは読むけど右岸の九は、正直、気持ち悪い。2015/11/27
扉のこちら側
48
初読。左岸を先に読了していたので、惣一郎の自殺の背景や九の旅について知ることができた。右岸も左岸も、喪失というものを強く感じる。2012/11/17
とも
47
他の方のレビューをチラチラと見させてもらっていたら、そんなに高評価されていない様で、期待値も低い中読み始めたけど、読んでて「温っかいなぁ」「切ないなぁ」と妙に胸を熱くしながら読み進めた。九の超能力の件が現実味を薄れさせてしまうけど、それも小説と割り切ってしまえば何の問題もないかと。九が茉莉を想う気持ちは男として充分理解できるけど、ネネの気持ちを裏切っちゃあいかんよ。ネネの突然の死に対する動揺が収まらないまま、死の意味を咀嚼しきれていないまま下巻へ。2022/08/05




