出版社内容情報
旅情を誘う短編とエッセイの詰め合わせ
飛行機に乗るたび願い事をする理由。自転車を盗まれた最悪な日の出会い…懐かしく胸を締めつける12の短編と、東南アジアから北欧まで、6つの都市をめぐるエッセイを収録。旅情あふれる作品集。
内容説明
初めて乗った飛行機で、少年は兄の無事を一心に祈っていた。空は神様に近い分、願い事が叶う気がして―。機上で、田舎の駅で、恋人が住んでいた町で。ささやかな、けれど忘れられない記憶を描いた12の短編と、東南アジアから北欧まで、6つの町で出会いをつづったエッセイの詰め合わせ。ANAグループ機内誌『翼の王国』人気連載をまとめた、懐かしくいとおしい、旅情を誘う作品集。
著者等紹介
吉田修一[ヨシダシュウイチ]
1968年長崎県生まれ。97年「最後の息子」で文學界新人賞を受賞しデビュー。2002年『パレード』で山本周五郎賞を、「パーク・ライフ」で芥川賞を受賞。07年『悪人』で毎日出版文化賞、大佛次郎賞をダブル受賞。10年『横道世之介』で柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
461
かつてANAの機内誌「翼の王国」に掲載されていた掌編小説12篇とエッセイ6篇をまとめたもの。媒体が媒体なだけに不幸なお話は一切ない。ちょっとビターな趣きのものがわずかに1篇。全体に軽やかなタッチで書かれている。正直なところ軽すぎてやや物足りなさを感じる。もっとも、機内で読むにはヘヴィーな話も似つかわしくはないが。また、やはり機内誌ということを意識してのサーヴィスか、はたまた破格の原稿料ゆえか、物語の中で飛行機に乗るものが多い。2020/10/25
夢追人009
178
読み終えた後にふらりと旅に出たくなる昭和の名曲・山口百恵さんの「いい日旅立ち」がピタリと来る気分爽快な作品集です。旅と人生の一コマを切り取ったかの様な掌編小説12編と海外旅行記エッセイ6編には本当の意味での悲しみは一切なく辛い過去があってもそれを乗り越えたからこその今の自分がいるみたいなひたすらポジティヴな考えの主人公達が描かれていて前へ進む事を恐れない一歩踏み出す事の希望と勇気をもらえましたね。これらの作品達を読むと過去を悔やんでも仕方ない事で自分の選んだ道を信じて生きる事が大切だと改めて感じましたね。2019/01/17
hiro
126
全日空の機内誌『翼の王国』に連載された小説12編とエッセイ6編。吉田さんの本を読むのは5冊目。もう忘れてしまったが何かでこの本を知って、『あの空の下で』という題名も気になり、この本を読むことにした。小説は読み出し、さてこれからどうなるかとページをめくると、もう終わりかとがっかりするぐらいの、もう少し読みたいと思う長さの短編というより掌編だった。しかしこの長さで、機内誌らしく飛行機、旅に関わる主人公たちの人生の大切な一部を切り取った小説を成立させるのは、さすがだと思う。気楽に読むにはいい本だと思う。2014/08/02
ぶち
101
【秋なので旅の本月間】ANA機内誌に掲載された吉田修一さんの短編とエッセイ。旅にまつわるお話ばかりで、雲の上を飛ぶ機内で読むのにふさわしい。ある時から飛行機に乗ると願い事をするようになった青年。ふらりと知らない町を訪ねて何もしないで帰ってくる男、友達とのアメリカ旅行の顛末..... 短いお話ばかりですが、どこか寂しい感じもしたり、心の琴線に触れるものがあったりします。新たな門出、新たな出会い、別離....旅には様々な意味合いがあって、それが心に沁みてくるんですね。疲れたときに読むと心がほぐれそうです。2022/09/26
じいじ
89
さすが吉田修一です、素直に巧いなぁと思います。これは、ANA機内誌「翼の大国」に連載された作品を再編集したもの。私たちが日常生活で経験するたわいない出来事が、吉田氏の手を経ると一話になるのだから大したものです。どうのこうの屁理屈をこねた感想は無用と考えます。気楽に読みたい掌小説とエッセイ集です。2023/06/29
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