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集英社文庫
さよなら、サイレント・ネイビー―地下鉄に乗った同級生

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  • サイズ 文庫判/ページ数 364p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784087466362
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

内容説明

なぜ彼は地下鉄にサリンを撤かねばならなかったのか。オウム真理教事件・豊田亨死刑囚と東大物理学科で同級生だった著者が、知を尽くし存在をかけて迫った「親友の大罪」。脳生理から性のタブーまで「7つの問い」の答えを求める彷徨の末に見たものは?真に裁かれるべきは誰なのか?第4回開高健ノンフィクション賞受賞作品。選考会騒然、評価を二分した問題作、ついに文庫化。

目次

第1部 出来事(苦行―中目黒発・東武動物公園行;筋書―アリジゴクの仕掛け;創発―行為は気づきに先立つ ほか)
第2部 証言(通過列車を待ちながら…1999~2004;拉致―騙された罪の重さ;調教―現象と詐術の接木 ほか)
第3部 伝言(通過列車を待ちながら…2005;手紙―さよなら、サイレント・ネイビー;後継列車を待ちながら…2006年8月6日 ほか)

著者等紹介

伊東乾[イトウケン]
作曲家=指揮者。ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督。東京大学大学院情報学環准教授。1965年東京生まれ。東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修士課程、同総合文化研究科博士課程修了。第1回出光音楽賞ほか受賞。創作・演奏の傍ら脳血流測定など医用測定機器も活用する音楽表現の国際基礎研究プロジェクトを進める。『さよなら、サイレント・ネイビー』で第4回開高健ノンフィクション賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hatayan

35
地下鉄サリン事件の実行犯と同級生だった著者が、友人に寄り添いながらオウム事件を考えた一冊。 元オウム信者の豊田亨氏と著者は東京大学の出身。著者は戦時中の父親の体験をたどり、戦争を鼓舞したのは東大と海軍だったこと、戦争とオウム事件はマインドコントロールの上に成り立つ点が共通しており、国家の体制とオウムが地続きだったことに気づきます。 豊田は教祖と決別し悔恨の日を送りましたが多くを語ることはありませんでした。沈黙は美徳ではなく、後世のために心の内を語ってくれないか。著者が豊田に宛てた手紙が心を打ちます。2019/12/03

glaciers courtesy

7
開高健ノンフィクション賞受賞作ということで手に取ったのだけど、良い本だった。しかし、タイトルで損をしているように感じる。内容がわかりにくいのだ。「地下鉄サリン事件の実行犯豊田亨の実験パートナーかつ親友が描いたオウムとその合わせ鏡の日本の分析」という内容を的確に言い表せられるタイトルは無かったのか。伊東乾は友人である豊田亨に肩入れしすぎなんじゃないのと時には感じるのだが、村上春樹本より、裁判傍聴記よりも心に落ちるのを感じた。ジャーナリズムからは遠く離れた立場で書いた本にこそ真実があるという場合もあるのだな。2014/10/27

Ikuto Nagura

5
作曲家伊藤乾が地下鉄サリン実行犯となった親友豊田享について書く。大泉康雄が浅間山荘事件を起こした親友吉野雅邦について書いた著作が思い浮かんだ。事件前からの親友による記述は、普通の人たちと極悪犯と呼ばれる人との差異がほんの紙一重にすぎないと教えてくれる。また、近現代史の流れの中にオウムを位置づけようとする試みは、写真家藤原新也の『黄泉の犬』とも重なる。芸術家の感受性が、オウムとそれを取り巻く現代社会に、共感または違和感を抱かせるのか。はたまた、村上春樹にも感じたのだけど、オウム騒動に便乗してみただけなのか。2016/05/17

JunTHR

5
うーん、評判悪いなぁ。面白かったけどな。豊田被告に対する姿勢だって、豊田の友人で、事件後も接見している著者だからこそ書けることじゃないあかな。単に友達だから「擁護」してるわけではないし。2012/03/04

鬼山とんぼ

3
本書は偶然地下鉄サリンの実行犯と友人だった後の東大准教授である著者の、なぜそうなったかの謎解きの物語であるが、同時に失敗の本質や畑村失敗学などの知見にも繋がっている。日本という国(特に権力者)が犯してきた数々の過ちの経緯は、上部関係者の経歴に傷を残さないという配慮、および責任を取る現場当事者は余計なことを言わないという美意識により、事実が秘匿される。近年では森本・加計学園問題がその典型だ。その結果、正しい記録が残されず、後世の失敗回避の教訓となるべきものが形成されないため、延々と同じ過ちが繰り返される。2023/03/29

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