内容説明
著者は23歳で北極点から南極点までを人力で踏破、24歳で七大陸の最高峰の登頂に成功した。探険家で写真家の彼は、その後も世界各地を旅し続ける。極地で飲んだ安ワインやビール。山形でトマトと牛乳をくれた農家のおばあちゃん。チョモランマの僧の祈り声を運ぶ風。沖縄の合宿で食べた中味汁。アフガニスタンで見た天の川。それぞれの土地で出会い感じたことを清冽な文章と写真で語ったエッセイ集。
目次
1 海
2 山
3 極地
4 都市
5 大地
6 空
著者等紹介
石川直樹[イシカワナオキ]
1977年東京都生まれ。高校時代にインド・ネパールを一人旅して以来、世界中を旅するようになる。2000年、地球縦断プロジェクト「Pole to Pole」に参加して北極点から南極点を人力踏破。2001年にはチョモランマに登頂し、当時の世界七大陸最高峰登頂の最年少記録を塗り替えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Hideto-S@仮想書店 月舟書房
79
東京・九段界隈で育った少年は、高校時代にインドへ独り旅したのを契機に《冒険家》への道を歩み始める。23歳で北極点から南極点までを人力で踏破。24歳でチョモランマに登頂し、世界七大陸最高峰登頂の最年少記録を樹立した。極限の自然の中で命をつなぐために食べ、身体が捻れるような状況を切り抜ける直前直後には精神を解放するために飲む。10年以上使い込んだ装備と共に旅をしながら、蓄えるのではなく不要なものを削ぎ落としていく。「最後には本当に必要な知恵だけが残る」という。ストイックだが、淡々とユーモアを交えたエッセイ。2015/08/21
ぶんこ
55
17歳でインド一人旅に驚かされましたが、それ以後の旅も好奇心の赴くままにチャレンジしていく様が爽快でした。素潜りからカヤック、北極から南極への縦断旅、世界最高峰への登頂、そして気球と好奇心は収まる所なし。それに向かう実行力、体力に敬服。旅の中で「ヒリヒリするような孤独が、逆に気持ちを高揚させる」と書かれていて、私自身が一人旅の最中に感じる孤独と高揚感を思い出し、そうだ、ヒリヒリという感じだ!と共感。あの感じを味わいたい。彼のような知識も体力も何も無いけれど、共感できたのが嬉しい。2017/12/25
Shoji
28
著者の石川直樹さんは冒険家、探検家、登山家、写真家、エッセイスト。本当のところは、きっと、本業は自由人、さすらいの旅人なのだろう。旅した場所は、海、山、極地、都市、大地、空。ボーダーレスだ。恰好いい生き方をしていると思う。憧れだ。文章も素敵でした。2024/12/14
クラムボン
23
著者の行動力が凄い。まずは各国の仲間と《POLE TO POLE》に参加。1年近くかけて北磁極から南極点まで徒歩、自転車、カヌーなど人力で踏破した。ミクロネシアでは、数年離島に通い、古老から海図やコンパスを一切使わない、海流を使うカヌーの航海術を学ぶ。これはタイトルの《パタゴニア》の創業者のことば『全ての装備を知恵に置き換えること』の実践であろう。そして行く着く先が究極の空の旅。それが熱気球による太平洋横断だ。高度1万m付近を流れる風速60mのジェット気流に乗れば、60時間で北米大陸に到着できるそうだ。2021/09/10
taku
18
パタゴニア、ブラックダイヤモンドの創業者イヴォン・シュイナードの言葉に掴まれる。自分で冒険を作ればいい。誰かの既知だって構わない、自分の未知へ向かっていけたら。そう思わせる。もちろん、石川さんの旅話も好き。短いエッセイではなく、じっくり語って貰いたくなるから物足りなさも感じてしまうけど。日常の当たり前が通用しない場所で新しい世界を実感する。トイレ事情もその一つか。「旅のトイレ考」のような話は面白い。2022/04/10