内容説明
八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは?今日を生きることの意味を知る物語。
著者等紹介
伊坂幸太郎[イサカコウタロウ]
1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年「オーデュポンの祈り」で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。04年「アヒルと鴨のコインロッカー」で第25回吉川英治文学新人賞、短編「死神の精度」で第57回日本推理作家協会賞(短編部門)、08年「ゴールデンスランバー」で第5回本屋大賞・第21回山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yu
1335
荒んだ心に染み渡るサプリメントのような1冊。何度読んでもやっぱり「演劇のオール」が一番好き。早乙女のおばあちゃんの家でみんなで暮らす映像が浮かんでくる。「太陽のシール」の土屋もいい。「冬眠のガール」はかわいすぎる。「深海のポール」のおじいちゃんも最高。『死んでも死なない』。いいセリふだ。2012/05/16
ヴェネツィア
1187
SF仕立てではあるけれど、SFとして読むにはあまりにも矛盾だらけ。もちろん、そんなことは著者自身が重々承知の上。一種のファンタジーだろうか。そうはいっても、ここに描かれるのはきわめて日常的な風景。ただし、3年後には小惑星の衝突によって人類が滅亡するといった、いわば限界状況下においてである。そこにはユートピアは当然としてもディストピアもまたない。ある種の健康的でしたたかな日常が営まれているのだ。彼らはそこで「とにかく生き」て行くのだ。伊坂幸太郎は村上春樹の影響下にあると思うのだが、ここに決定的に欠如して⇒2017/06/19
青葉麒麟
1049
かなり残酷でしんどい事をサラリと書いているのは此の作家らしい。でも自販機で並んでて撲り殺されたり、家に暴漢が押し入るってのはやっぱり嫌(。>д<)私だったら多分発狂すると思う。2012/10/19
ehirano1
988
その辺にいくらでも在りがちな話なのですが、伊坂さんが書くとなんか一味違いますね。本書では絶望に対して中高年より若者の方が強く前向きであることが描かれています(例外の中高年が何人かいますがwww・・・)。中年の私としては本書の若者達に学ばされた一方、「なぜ中年がこれ程にも弱いのか」ということに考えさせられました。解のヒントは本書に登場するパワフルな一部のおっさん達にあるとは思うのですが、さてさて。2017/04/15
とも
953
人が「生きる」事に主題を置く為に、「死」に焦点を当てて書かれる8篇の短編集。鋼鉄のウールの苗場さんの一言「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」また、深海のポールの土屋さんの一言「死に物狂いで生きるのは、権利じゃなくて、義務だ」伊坂さんらしい、この言い回しがたまらなく好きやな。2016/03/14
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