出版社内容情報
あっと驚くどんでん返し!
財閥の放蕩息子に見初められ結婚した蓮子は、慣れない生活に息苦しさを感じていた。そんな折、財閥当主が殺される。殺人罪の裁判の行方は? 驚愕のどんでん返し、ミステリの金字塔!(解説/道尾秀介)
内容説明
ヌードダンサーのミミイ・ローイこと漣子は八島財閥の御曹司・杉彦と恋に落ち、玉の輿に乗った。しかし幸福な新婚生活は長くは続かなかった。義父である当主・龍之助が何者かに殺害されたのだ。真犯人は誰なのか?弁護側が召喚した証人をめぐって、生死を賭けた法廷での闘いが始まる。「弁護側の証人」とは果たして何者なのか?日本ミステリー史に燦然と輝く、伝説の名作がいま甦る。
著者等紹介
小泉喜美子[コイズミキミコ]
1934年2月2日生まれ、1985年11月7日没。東京都出身。推理作家、翻訳家。東京都立三田高等学校卒業。一時、ジャパンタイムスに勤務。1959年「我が盲目の君」でエラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン第一回短編コンテストに入選。1963年に「弁護側の証人」が単行本化され、デビュー。その後もアーウィン・ショーの作品やミステリーの翻訳などで活躍した。1985年に事故死(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
570
国内名作ミステリのリストに必ず入ってくる作品。面白いのだが、"慣れている"人であれば一瞬で気付く可能性がある。この鉱脈もだいぶ堀つくされてきている。『あっと驚くどんでん返し!』みたいな売り文句を出版社は自粛して欲しい。出版当時の読者と、現代の新本格慣れした読者では、驚きの大きさがかなり変わってきそう。いかにも昔な文体も好みが別れそうだが、私自身はソコはむしろ好きな方。面白いと思ったのは、どんでん返しの後でも、結局白黒割りきれない部分が残る事。妊娠の件だが、なんか"女性の強さ"みたいに好意的な書かれ方。2016/11/20
青乃108号
271
懐かしい昭和の香りのする小説。映画を思わせる場面転換の巧みさにうまく隠された作家の企み。完全に騙されました。弁護側の証人=前代未聞の人物。読みやすく読後感爽やかな、良作です。2022/03/31
サム・ミイラ
268
これはもう上手い!というしかない。構成も文章も仕掛けも。悔しいがすっかり騙されてしまった。勿論時代的背景もあると思うが、その様式美が海外の古典的な本格推理小説を読んでいるような気分にさせてくれる、まさに日本のミステリ史に残る傑作。驚くのは作者は特にミステリー作家ではなかったそうで興味のひとつで書いたらしいが、いやおそろしい才能。道尾秀介氏の解説も楽しく、読んで損はない一冊。ところで柚月裕子氏の最後の証人は、この作品へのオマージュのような気がするのは私だけだろうか。2015/05/20
麦ちゃんの下僕
176
『東西ミステリーベスト100』ランクイン作品で「ナツイチ2020」にもラインナップ。1963年の作品ですので、被害者が1人でも“尊属殺”のため死刑など時代を感じる部分もありますが…遅読の僕が2日で読了するほど読みやすく面白い作品でした!肝心の「超絶どんでん返し」については…読者が“あの場面”をどうイメージするかがポイントですので、“驚愕”する人と“思った通り”な人が半々なのでは!?…僕は後者でしたのでニヤリ(笑) むしろ「証人」が誰なのか?物語がどういう結末を迎えるのか?という興味で引き込まれましたね!2022/05/21
みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます
97
資産家殺害の罪により死刑判決を受けた被告の疑いを晴らすべく、渦中に置かれた女性の回想を通じてその真相に迫っていくミステリー。うたぐり深く読んでしまったために、その仕掛けにカタルシスを感じるまでには至らなかったが、とはいえ、巧みな描写で、幾度となく自分の読み方が正しいのかどうか揺らがされ、最後まで落ち着かない気分で読まされたのだから、著者の術中にはまんまとハメられたのは間違いない。確かにこれは50年の時を越え復刻されるのもうなずける傑作。個人的にはもう一ひねり欲しかった気はするが、おススメしたい一冊である。2014/02/18