出版社内容情報
今、「バスジャック」がブームである──。バスジャックが娯楽として認知されて、様式美を備えるようになった不条理な社会を描く表題作。回覧板で知らされた謎の設備「二階扉」を設置しようと奮闘する男を描く「二階扉をつけてください」、大切な存在との別れを抒情豊かに描く「送りの夏」など、著者の才能を証明する七つの物語。この短編集の中に、きっとあなたの人生を変える一編があります。
内容説明
今、「バスジャック」がブームである―。バスジャックが娯楽として認知されて、様式美を備えるようになった不条理な社会を描く表題作。回覧板で知らされた謎の設備「二階扉」を設置しようと奮闘する男を描く「二階扉をつけてください」、大切な存在との別れを抒情豊かに描く「送りの夏」など、著者の才能を証明する七つの物語。
著者等紹介
三崎亜記[ミサキアキ]
1970年福岡県生まれ。熊本大学文学部史学科卒業。2004年、「となり町戦争」で第17回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mae.dat
266
バスジャックは紳士の嗜み。表題作を含む7話短編。中にはショートショートなものも。中々に独特な世界観でね。準備が無かったから、初めは何をしようとしているのか分からないでいました。でも『バスジャック』を読み終えた辺りではたと気付きましたよ。バスジャックはね、首謀側だけの技量のみならず、人質となった乗客を含む全員の助力を含めて芸術の域に達するものであると。であればですよ。この読書も、著者に乗っかって文字を追っているだけでは駄目なのではと。読者である儂も著者の作品に参加する様に読み、体感しなければ成就せずと。2024/11/29
yoshida
230
三崎亜記さんの感性から紡ぎ出される7つの短編。不思議と心に残ります。「バスジャック」、「動物園」、「送りの夏」が印象に残りました。「バスジャック」のラストのカタルシスはたまりませんね。「送りの夏」では死者との別れを、残された者が気持ちの整理が着くまで共に過ごせる別荘を描いています。特にお爺さんが真夏にも関わらず、お婆さんに厚着をさせている理由には切なくなりました。死は突然に訪れる。残された者が死を自分の中で受け入れる場所があってもいい。独特の世界観ながらも、読者を惹き付ける三崎亜記さん。他の作品も読もう。2016/07/02
紫綺
135
単行本にて読了。どうやったらこんな発想を思い付くのだろう。有りそうで無さそう、無さそうで有りそうな三崎ワールド。2015/06/16
*すずらん*
132
作者の少し温度が低い世界観が好きです。日常から切り取られた世界ではなく、日常の中にある 例えば部屋の隅っこや、電柱の陰、会話が途切れた時のポッカリ空いた空間にある世界。決してリアルではないのに、読了後に ある筈が無いとは断言したくない私がいます。これから私自身が体験するかもと、少し期待している私もいます。いつもは気にもしない、コップの中で溶けかけた氷のコトリという音にもハッと辺りを見回す私。そんな私を ヒヤリとした目をした住人が、注意深く観察している様な気がします。漂ってくる冷気は、きっとそんな世界から2014/11/24
MURAMASA
116
ずいぶん前に『となり町戦争』を読んだとき。突拍子もない設定に頼ることなく、それはそれとして淡々と過ぎていく物語の中の日常描写に、いつの間にか取り込まれている自分を感じました。本作は短編集ですが、やはり不思議な設定を持ち込みながらも、描き出しているのはそこで暮らし、生き、死んでいく人たちのありのままの姿です。私が気に入ったのは、「二人の記憶」です。愛し合う二人でも別個の人格であって、すべてを共有できるわけではない。でもだからこそ、わかり合っていく喜びがある。そういうメッセージを感じました。2011/01/23
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