内容説明
ひとりの少年が1対1で宇宙と向き合い生まれた、言葉のひとつぶひとつぶ。青春の孤独と未来を見つめ、今なお愛され続ける詩人の原点を英訳付の二カ国語版で初文庫化。著者18歳の時の自筆ノートを(一部)特別収録。
目次
生長
わたくしは
運命について
世代
大志
絵
霧雨
春
停留所で
祈り〔ほか〕
著者等紹介
谷川俊太郎[タニカワシュンタロウ]
1931年12月東京生まれ。詩人。52年、詩集『二十億光年の孤独』でデビュー。鋭い感受性を的確なことばで表現した作品群で、新鮮な衝撃を与えた。翻訳、劇作、絵本、作詞などジャンルを超えて活躍。62年「月火水木金土日の歌」で日本レコード大賞作詞賞、75年『マザー・グースのうた』で日本翻訳文化賞、82年『日々の地図』で第34回読売文学賞、2005年『シャガールと木の葉』『谷川俊太郎詩選集1~3』で第45回毎日芸術賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
194
最近ハマっている詩集。谷川さんのことを知っていたので是非読みたいと思い手に取った。正直わからない詩もあった。だがこれも含めて詩を味わうことではないかと思った!言葉を減らす分残った言葉が強くなる。そのため伝わりづらくもなる。だが今は分からなくてもいつか分かるだろうぐらいのスタンスの方が気軽に読める。この本で一番印象に残っているのはネロである。亡くなった子犬への辛さを胸に一歩ずつ前に進もうともがいているのがすごく伝わってくる。前に進み続けることがネロのためになるかのように。また詩集を読みたいと思った!2021/06/05
ヴェネツィア
192
表題作は教科書やアンソロジーで何度も読んだことがあるのだが、詩集の全編を読むのは初めて。序文代わりに三好達治の詩が付いている。これが谷川の最初の詩集であり、当時は弱冠20歳だったことを思えば、異例のことだと思う。まさしく彗星のごとき詩壇への登場だったのだろう。初版からは60年にもなるが未だに鮮度を失うことがない。また、言葉の平明さは通俗性に堕することなく、瑞々しさを保っている。なお、後半には英訳が付されている。表題作の中の(ネリリしキルルしハララして)は、neriring or …という風な音訳だった。2013/01/01
匠
139
空、風、夏、宇宙、そんな言葉が度々登場する若々しさ。谷川氏の作品の中でも特に素直な詩たちだと思った。表題作はもちろん素晴らしいが「風」という詩の中の”僕がひとりであるということだけが正しい”という言葉にハッとした。また、1956年12月の『詩学』に掲載されたという記事「私にとって必要な逸脱」に書かれていたことは、自分にとってものすごく共感できる言葉ばかりだった。その後の「自伝風の断片」と題した谷川氏自身による彼の生い立ちのほか、小学校4年生の頃の作文までもが載っており、とても興味深く楽しく読めた。2014/04/30
風眠
127
「万有引力とは引き合う孤独の力である」という一節に、心臓をすいっと持ってかれた。いつも一緒にいる本。これからもずーっと読み続けていく本。・・・きっとね、そうだね。2012/09/09
昼寝ねこ
119
この文庫本は右側から開くとオリジナルの日本語詩、左側から開くと英訳詩になっている。手書き文字や自伝的文章もあり、1冊で何度も美味しい。「二十億年の孤独」の中の「ネリリ」「キルル」「ハララ」は、そのままneriri,kiruru,hararaだった。(そりゃ訳せないよね😅)私の一番好きなフレーズは「風」という詩篇にある。「もう小さな神話の時代をなつかしむのはよそう 今は 僕がひとりであるということだけが正しい」😌谷川俊太郎さんの名詩はこれからも折に触れ何度も読み返すと思う。ご冥福をお祈り申し上げます🙏2024/11/21
-
- 和書
- 近くなった町 文春文庫