内容説明
童貫と〓美(ほうび)が、怒涛の猛攻を開始した。董平率いる双頭山が総力を挙げて迎え撃つが、次々と同志は討たれていく。更なる禁軍の進攻を止めるため、侯健は偽の講話案を進めていた。巧みに高〓(こうきゅう)を信じさせるが、そこには思わぬ落とし穴が待ち受けている。一方、致死軍と高廉の軍の決戦が間近に迫っていた。闇の中で、両者は息を潜め、刃を交える時を待っている。北方水滸、悲泣の十七巻。
著者等紹介
北方謙三[キタカタケンゾウ]
1947年唐津生まれ。中央大学法学部卒。81年『弔鐘はるかなり』でデビュー。83年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞を、85年『渇きの街』で日本推理作家協会賞長編部門を、91年『破軍の星』で柴田錬三郎賞を受賞する。また、2004年『楊家将』で吉川英治文学賞、06年『水滸伝』(全19巻)で司馬遼太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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W-G
280
動き出した童貫の、圧倒的な強さが申し分なく演出されており、序盤から次々に戦死者も出るので、いよいよ終わりが近くなってきたなと、寂しい気持ちになる。戦で歯が立たないなりに、局面の打開に、著者独自の工夫が施され、それがまた読者を惹きつける面白い話になっている。ここにきてメイン級キャラの退場もラッシュがかかり、一巻から登場している盧俊義/魯達の最期は、やはり哀しい。関勝や龔旺の死に様にも痺れ、色々と掻き回してきた呂牛もいないと物足りない存在。ただ、相手を死域に入らせる童貞楊令は引いた笑。北方ワールド全開。2021/12/29
しんごろ
199
禁軍の圧倒的攻撃に、致死軍と青蓮寺の高廉軍の全面戦争に、闘いの迫力がすごすぎる。梁山泊の漢達が、次々に討たれ、あの漢は病気で…。全てを伝えて次世代の漢に託す…。 泣けた。再読しても、この興奮は初読みの時と変わらず。再読してもこの面白さ!北方謙三が本当の漢かもしれない。2017/12/19
ehirano1
141
李師師が燕青に言います、「国が、そうたやすく倒れたりはいたしません。国を倒そうとする力があれば、国そのものを立ち直らせようとする力も出てくるのですよ。そういう力が出てくる間、国を倒すことはできません」、これにはたいそう呻りました。脅威に対し発動する、自己防御反応(自然免疫反応)。国とは正に“生き物”であるとつくづく思いました。2020/01/12
納間田 圭
123
主要奇抜キャラがついに去る。U18的描写の魯智深こと魯達の死の場面。対して…楊令は逞しく育った。父の形見の吹毛剣が…研ぎ上がった。その切れ味が試される時が来た。ボスキャラ童貫の…恐るべき強さ。大刀関勝の…最後の言葉。盧俊義の…死んだふり作戦。侯健の…贅沢三昧だまし作戦。過去を語る公孫勝の…生きるために口に入れた父と母の○○、凄まじい生い立ち。まんまと騙された高俅の…怒り心頭の矛先。吹毛剣を研ぐことを許した…王進の気持ち。そして…釣りをやめた頭領栄江。呉用から思わず出た…「しまった」の言葉の意味2022/03/23
Kircheis
106
★★★★★ 童貫元帥が遂に本気を出す。 ラストに向けて、残りの英傑もどんどんと死んでいく。 関勝があまり活躍の場を与えられずに退場していったのには納得いかん! 魯智深が衰弱死するシーンも印象深い。遂に楊令デビューか?2018/03/27