内容説明
もう誰も、好きにならない。鉱石店でアルバイトをする大学生の修二は、そう心に決めていた。しかし、店に来る少女・雪衣のことが少しずつ気になり始める。次第に距離を縮めるふたりだったが、彼女は自分の素性を一切話さない。だが、ついに彼女が隠していた秘密を知っていしまう。その時、修二は―。人を深く想うということを描いた、心に響く美しい青春小説。
著者等紹介
関口尚[セキグチヒサシ]
1972年、栃木県生まれ。99年、茨城大学大学院人文科学研究科を修了。2002年、『プリズムの夏』で第15回小説すばる新人賞を受賞して、作家デビューする。2007年、『空をつかむまで』で第22回坪田譲治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゴンゾウ@新潮部
109
盛岡は数回しか訪問したことがないが、山に囲まれ豊かな印象が残っている。そして民話。なんか奇跡が起こりそうな。この盛岡を 舞台にした恋愛小説。恋愛に不器用で傷ついた過去を持つ3人の女性たち。そして恋愛に真っ直ぐな大学生修二。もっと修羅場になってもおかしくないのに。これこそ盛岡の奇跡? 【ナツイチ 2019】2019/07/29
ちょこまーぶる
106
柔らかい心にさせてもらった一冊でした。鉱石屋でアルバイトをしている大学生が鉱石屋で出会う女性たちとの恋の物語なんですが、読後は本当に温かい気持ちで観た避けるような感覚になってしまいました。「石の花」というお店で出会い、そしてアルバイトの同僚や女性たちが大人になって自立していく姿にも何だかキュンとする心情も味わいました。自分の大人へのステップを合わせ見たのかもしれませんね。そして、主人公が命を懸けて大人として旅立つ時に共に居る女性との心の描写が素晴らしくて、白い服の彼女の姿を見てみたい願望に満たされました。2017/08/23
おかむー
77
読み始めてから『シグナル』の作家さんと気付く。繊細な青春小説のようで肝心なところは唐突感のあるバランスの悪さはデビュー作ならではかな。『もっとがんばりましょう』。タイトルどおりに繊細な登場人物が織りなす素敵な物語…を狙っているのはわかるのだけれど、それぞれの距離感が微妙すぎてひたすらじれったい。これといった魅力を感じられない主人公の言動が終始生ぬるくてどうにもイライラさせられるのに、肝心なところでは暴走するけど結果オーライになる都合のよさにたいへん居心地が悪い。ちょっと合わない作風だったかな。2017/08/14
takaC
77
雪衣が好きになれないせいで話もなんとなく好きになれない。そのせいか、5年ほど前に単行本で読んだ話だということにだいぶ後の方で気がついた。2014/06/18
カブ
57
岩手県盛岡市の鉱石店、石の花のアルバイトの大学生修二の恋の物語。季節は雪に閉ざされた冬。登場する3人の女性それぞれがちょっとクセのある過去を持つ。通り過ぎていくひと、これからを感じさせる人、読み手がこうなったらいいなという方向には行かない。好きになれないヒロインたち。2019/02/28