内容説明
何なんだこれは!天才・乙一のジャンル分け不能の傑作短編集が「1」、「2」に分かれて、ついに文庫化。双子の姉妹なのになぜか姉のヨーコだけが母から虐待され…(「カザリとヨーコ」)、謎の犯人に拉致監禁された姉と弟がとった脱出のための手段とは?(「SEVEN ROOMS」)など、本書「1」には映画化された5編をセレクト。文庫版特別付録として、漫画家・古屋兎丸氏との対談も収録。
著者等紹介
乙一[オツイチ]
’78年福岡生まれ。17歳の時、「夏と花火と私の死体」で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞し、デビュー。ファンタジー・ホラー小説界の若き俊英として活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
239
これが乙一の持つ独自の世界観なのだと思う。不条理な短編を5編。「カザリとヨーコ」、「陽だまりの詩」が特に印象深い。まず「カザリとヨーコ」。中学生のヨーコは母と双子の妹であるカザリと暮らす。母の異常なまでのヨーコへの虐待とカザリへの偏愛。ある事件をきっかけに家を脱出するヨーコ。ラストのヨーコの心の声が、新たな人生を切り開く力を感じる。「陽だまりの詩」は手塚治虫の「火の鳥」を連想させた。ロビタやムーピー、タマミだ。徐々に生きる歓びや感情を得ながら、一人で生きる運命が哀しみを呼ぶ。独自の世界観に興味深く読めた。2017/12/03
おしゃべりメガネ
233
とても同じ作者が書いた作品とは思えないくらい、あらゆるカラーの短編集です。本当に作者さんは奇才だと改めて思いました。全体的には正直、明るい仕上がりの物語はなく、どの話もダークな締めで乙一ワールドを十分に味あわせてくれます。他の方のレビューにもあるように『seven~』は別格ですし、個人的には『so-far』が好きなカラーでした。正直、グロい作品もあるので、万人に楽しんでもらえる作品ではないかもしれませんが、1度は何かの作品を是非手にとっていただきたい、そんな作家さんです。基本的にどの作品も読みやすいです。2013/11/21
NADIA
192
不思議な感覚の5編の短編集。ホラー要素が強いもの、SFチックなもの、ミステリ風なもの。どれも共通するのは「静謐」。極限の状況の物語さえ、しんと研ぎ澄まされた静寂を感じる。この中では「カザリとヨーコ」が一番気に入った。理由は不明だが、一卵性双生児なのに姉のヨーコだけ母親に虐待されている。しかしその仕打ちを「こんなもんだ」とひがむことなく明るく受け入れているヨーコが妙に頼もしい。そして、一気に大逆転したようなラスト。喝采ものだった。SEVEN ROOMSも普段特に感じない姉弟愛を見せてくれる良作。怖いけど。2018/02/06
yumimiy
174
いいね、いいね、いいねー!酔っぱらいの足取りで地獄の淵をウロウロ、深酔う読書でした。オッと危ないみたいなw。①カザリとヨーコ、「おっしゃー!」ヨーコ、がんば。②sevenrooms、死を覚悟した時、人間は本領を発揮する。姉ちゃんアッパレ③so-far、父ちゃんと母ちゃん、どっち取る?母ちゃんで正解だよ。④陽だまりの詩、「ブレードランナー」のロイ・バッティが浮かぶ、私もアンドロイドに看取ってほしい。⑤zoo、「死の王」や「死体農場」が過ぎる。誰か、犯人はお前だと言ってくれ。じゃあ、言ってやる・・・お前だよ!2021/01/28
忠犬じろレポ
168
乙一の小説は読みやすい。GOTHの次に読む作品なので残虐な描写を覚悟で読みましたがGOTHが強烈過ぎたので免疫ができていたようです。今回印象的だったのは子供を扱う2作。カザリとヨーコとSO-farは共に親が悪すぎ。ヨーコはあんな環境で育てられたのに健気で不憫で。(T_T)白雪姫のようなサクセスストーリーを想像しましたが「家なき子」とは、何とかしてあげてよ。SEVEN ROOMはその続きは?で終わった感があり消化不良。まあ自分なりに想像しましたが(^^;2013/03/29