出版社内容情報
会津藩主松平容保は、会津藩家訓で徳川家への絶対随順を叩き込まれた。京都守護職を拝命するも薩長から賊軍とされ戊辰戦争で降伏。義のため信念を貫いた藩主の苦難の生涯。歴史小説。(解説・松平容保)
内容説明
高須藩の六男に生まれ、会津松平家の養子となった容保。初代藩主保科正之が定めた会津藩家訓による徳川将軍家への絶対随順を、精神に叩き込まれる。幕末の動乱期、家老たちの反対を押し切って京都守護職を拝命。京都の治安に尽くし孝明天皇の信を得る。だが、戊辰戦争で朝敵の汚名を着せられ…。信じた正義のために潔白を明かそうと、信念を貫いた武士の誇り高き人生を描く書き下ろし歴史小説。
著者等紹介
植松三十里[ウエマツミドリ]
静岡市出身。昭和52年、東京女子大学史学科卒業後、婦人画報社編集局入社。7年間の在米生活、建築都市デザイン事務所勤務などを経て、フリーランスのライターに。平成15年「桑港にて」で歴史文学賞受賞。平成21年「群青 日本海軍の礎を築いた男」で新田次郎文学賞受賞。同年「彫残二人」で中山義秀文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんごろ
173
歴史の苦手な方も軽い感じで読めると思います。そして、鳥羽伏見の戦いから戊辰戦争の事もわかりやすく学べますね。会津藩主・松平容保の様々な困難の中、そして葛藤のある中、義を持って信念を貫いた姿に、戊辰戦争の敗北後、周囲の人が松平容保の擁護する結果になったのでは。その周囲の動きに感動。ラストの方でジーンとするシーンもあり面白かったです。義とは何か?正義とは?それを学んだような気がしますね。もし読んでみたいと興味がある方は、この物語と同著者の『ひとり白虎 会津から長州へ』とセットで読むのをオススメします!2019/06/19
ポチ
69
家訓を守り徳川将軍家に対し義を貫いた松平容保。読み易い良書です。2019/07/23
アルピニア
62
決断を迫られた時、私利私欲を捨てて道を選ぶことを義というのかもしれない。恭順か、戦うか。慶喜個人ではなく徳川家への忠義という解釈に納得した。家臣の言葉、「歴史は正義を語ります。私はそう信じます」「戦争は敗者を生みます。敗者にも言い分があることは、殿がいちばんご存知でしょう」が重く響く。戊辰戦争後は家臣の苦労を目の当たりにし、会津の正義を問う事も叶わず苦しい日々だったと思う。しかし、宮司就任と孫娘の輿入れは、義を貫く姿をちゃんと見ていた人がいるのだと示されたようで、心がじんわりと熱くなった。2019/07/12
鈴木拓
28
いわれなき罪を負い、朝敵とされてなお義を貫いた会津藩。 今の時代から見ればその正義が理解できるが、そうでなかった時代を生きた松平容保をはじめとする会津の人々の苦しみはどれほどだったか。 白虎隊の少年たちを弔う碑に刻まれた松平容保の句は、涙なくして読むことができなかった。 結末の解釈にも納得。 読んで損のない一冊。2020/01/14
よっしー
26
新撰組がお世話になった人物としか認識していなかったのですが、改めて激動の時代を藩主として会津の事を、そして将軍家の事を考えながら生き抜いた人物だったのだと感じました。人を納得させるだけの実力があったのは勿論、人の懐に入り込むのも上手かったのでしょうね。コロナ前に会津若松、鶴ヶ城にもお邪魔させてもらった事を思い出し…その心は今も地元に根付いていると感じました。 そして、素敵な場面で新撰組の名前が顔を出し…嬉しかったです。ありがとうございます!!2022/09/14