出版社内容情報
お遍路ツアーに全国から参加した大学生の玲たち。過酷な道のり、それぞれが抱える旅の理由、行く先々で出会う人々。メンバー間の軋轢、結束、そして脱落……。忘れられない夏が始まる。(解説/榎本正樹)
関口 尚[セキグチヒサシ]
著・文・その他
内容説明
四国お遍路ツアーに参加した大学生の玲。7人の班で旅が始まる。天真爛漫な太陽、ひねくれた態度の剣也、誰とも打ち解けない花凛…。10歳以前の記憶がない玲だけでなく、それぞれが事情を抱えている様子。過酷な道中、予期せぬトラブルも生じ、離脱せざるを得ない者も。軋轢も和解もあり、やがて結束するメンバー。長い長い歩みの果てに、彼らを待っているものは。忘れられない青春群像小説。
著者等紹介
関口尚[セキグチヒサシ]
1972年、栃木県生まれ。99年、茨城大学大学院人文科学研究科を修了。2002年、『プリズムの夏』で第15回小説すばる新人賞を受賞して、作家デビューする。07年、『空をつかむまで』で第22回坪田譲治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
175
THEお遍路小説!それぞれの事情、悩みを抱えた学生達がお遍路を通して、自問自答しつつ何かを気づく姿は、読んでる自分には、彼らを遠くから眺めて成長する姿を見守った気分になりました。玲、花凜、剣也には感情移入しちゃい、涙腺が弱いから泣かされましたね。彼らの成長する姿を見てたら、おっさんになった自分にも、お遍路することによって、少しでも成長する余地があるのかなと思い、四国の自然の素晴らしさを感じながら、お遍路してみたくなりました。2018/10/30
さつき
73
お遍路プロジェクトに集った見ず知らずの大学生たちが、班ごとに徒歩で四国八十八箇所巡りをするというストーリー。七班に集まったメンバーはそれぞれ様々な事情を抱えていました。日常生活では、こんな風に本音をぶつけ合うことってなかなか無いと思います。やはり千二百キロを歩き通すという極限状態だからこそ、自分自身とも仲間とも真摯に向き合うことができるのでしょう。こんな体験を私も若い頃にしたかったな。2019/11/02
おかむー
71
これはオススメ掘り出し物、お遍路を舞台にした青春物語は直球な感動モノでしたよ。『たいへんよくできました』。大学生を対象としたお遍路プロジェクトに参加した6人の男女が旅をとおしてそれぞれの事情と向き合う群像劇。特定の誰かが主人公でなく、章ごとにひとりづつの視点に切り替わって描かれるのでそれぞれの内面に共感しやすくて好感触。実際に物語上軸になるのは記憶を取り戻したい玲、歌えない歌姫・花凛、いやいや参加するトラブルメイカー・剣也。苦しい旅のなかで自分の抱えるものと仲間との関係性が変わってゆく様が心に響きます。2020/08/01
さおり
47
昨年すすめていただいた本。読んだことない作家さんやし530ページもあるし、びびって放ってあったんだけど、あまりにも時間があるので読んでみました。めちゃめちゃ良かったわ!お遍路ツアーに参加した大学生たちが、ただ歩くという日々の中でひとまわりもふたまわりも大きくなるお話。「未来は時間じゃないんだよ。時が経ったからといってたどり着けるところでも、まっていてくれるものでもないんだ」「未来ってのは、自分が向かった先に生まれるものなんだよ。まずは向かうんだ。そこに生まれるものなんだよ」彼らの未来、絶対に明るいと思う。2021/01/14
ユメ
46
複雑な事情を抱え、どうにか今の自分から脱却したいと願ってお遍路に参加する5人の大学生。ひねくれたことばかり言っていた剣也は、お遍路を通して自分に起こった変化は仲間と出会ったことだと考えるようになる。その一方で、変わる前の嫌な奴だった自分も好きだと彼は言う。その考え方は私にとって目から鱗であり、とても大事なことのような気がした。トラウマで歌えなくなっていた花凛は、自分は変わる必要がないのだということを発見する。それもまたかけがえのない収穫だ。いずれにせよ、明星は自分の足で歩いていった先にだけ輝く。2018/09/12
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