出版社内容情報
父・藤原不比等の願いが込められた光明という名を胸に、一人の少女が歩み出す。聖武天皇の妃となり、幾多の困難を乗り越えながらも、国の繁栄を願い続けた激動の生涯を描く歴史長編。(解説/諸田玲子)
葉室 麟[ハムロリン]
内容説明
時は奈良時代。藤原家の一族として生を享け、美しく光り輝くように成長した姿から、父・藤原不比等に光明子と名付けられた一人の少女がいた。成長とともに激しさを増す朝廷の権力争い、貧窮者の救済、仏教の広布、相次ぐ災害や疫病…数々の混迷を乗り越え、夫・聖武天皇を支え、国と民を照らす大仏の建立を目指す。時代を大きく動かし、国の礎を築いた光明皇后。その生涯が鮮やかに蘇る歴史長編。
著者等紹介
葉室麟[ハムロリン]
1951年北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年『乾山晩愁』で第29回歴史文学賞を受賞し、デビュー。07年『銀漢の賦』で第14回松本清張賞、12年『蜩ノ記』で第146回直木賞、16年『鬼神の如く 黒田叛臣伝』で第20回司馬遼太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とし
112
奈良時代の物語あまり読んだ記憶がなく、読み始めるのに戸惑いがありましたが、光明皇后の国や人々を思う気持ち生きることの大切さがが語られていて良かったです。2018/02/23
扉のこちら側
78
2018年204冊め。聖武天皇の皇后・光明子の生涯。天平時代を舞台にした作品は珍しく、楽しめた。呪術的なものや、光明子の天性のカリスマ性が強調されているのもまた時代の雰囲気に合っている。光明子=藤原不比等の娘なので藤原寄りの視点である。長屋王の変が描かれているが、権力闘争に敗れたものは悲惨である。2018/06/22
chantal(シャンタール)
74
この時代のお話は珍しいなあと思い手にした一冊。古代より血で血を洗う争いが繰り返されてきた朝廷。そんな政争の只中で、光に照らされた国造りに生涯を捧げた藤原不比等の娘で東大寺の大仏様を建立した聖武天皇の皇后である光明皇后。あの頃は天変地異にしても疫病にしても、最後は宗教にすがるしかなかったのだろうな。そしてその理念が真に実現できるのならそれでよいのだか、そうはならないのが人間の難しさ。昔も今もね。それにしても無性に奈良に行きたくなった。そしてあの頃は女帝は珍しくなかったのに、なぜ今はNGなのかな?2018/04/21
佐島楓
69
聖武天皇の后、光明子が主人公。この時代までさかのぼると、限られた歴史的な文献しかなく、作者の力量が試される分野だと思う。伝奇的要素を取り入れた新解釈の小説として、興味深く読んだ。2017/06/15
るぴん
46
母本。聖武天皇の妃・光明皇后の生涯。幼い頃に後の道鏡と出会って運命を導かれていたり、長屋王の息子・膳夫との淡い恋があったりするのはいいのだけれど、どうも光明子自身が聖女過ぎて、あまり人間味を感じられなかった。幼い頃から藤原氏の娘として帝を支える使命を背負わされてきたのはわかるけれど、従順すぎて…。実母の三千代、女帝である元明帝・元正帝。登場する女性達が皆、強く美しく聡明で、男性から見た理想の女性にばかり思えてしまう。広刀自と互いに嫉妬心剥き出しで対立する『夢も定かに』の安宿媛の方が、人間味があって好きだ。2019/02/15