出版社内容情報
パリに行けば、自分が見つかるの? 私は何がしたいの? 私は何ができるの? とまどいながらも自分の人生を見つめ、前に歩んでいこうとする10人の女性の物語。(解説/カヒミ カリィ)
山内 マリコ[ヤマウチマリコ]
内容説明
女性たちの憧れの街“パリ”。ずっとパリに行くことを夢見ていながら、臆病すぎて一度も海外に行ったことのなかったあゆこ。35歳になった彼女はある映画に惹かれ、ついに渡航の決意をかためる。年齢も境遇もさまざまな10人の女性たちが、パリへの想いを通して結び付き、やがて思わぬところで邂逅することに―。11の掌編が花束のように束ねられ、特別な旅へ導かれる、大人のおとぎ話。
目次
第1部(猫いるし;雨ばっかり;一人でも行くわ;大人ですから;彼女を探しに;わたしはアナ;美術少女;恋する女;ラナと愛犬;ワコちゃん;セ・ラ・ヴィ)
第2部 わたしはエトランゼ
著者等紹介
山内マリコ[ヤマウチマリコ]
1980年、富山県生まれ。2008年に「女による女のためのR‐18文学賞」で読者賞を受賞。12年『ここは退屈迎えに来て』で作家デビュー。地方に生きる女子たちのリアリティを見事に描き出す作風で話題となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
188
初読みの山内さん作品で、ナツイチにより手にとりました。あらゆる年代、境遇の女性たちがそれぞれに「パリに行きたい→行こう」となり、話が展開していく連作集です。本作を通じ、改めて女性の持つバイタリティーに敬服しました。話の中で多少少なからず、ツラい話はなくはないですが、全体的には終始心地よくリラックスして読了できます。変わらない日常にちょっと退屈気味な女性陣にはハマるんだろうなぁと。解説が自分が聴いていたカヒミ・カリィさんが書いているのがとても懐かしく、また聴きたくなってしまいました。「パリ」憧れますね。2017/07/22
Aya Murakami
124
ナツイチ2017 日本人女性によるパリへの憧れ…かな?そういえばうちの母も若き頃はフランス=最先端ですごい国というイメージだったそうです。最終的にはパリに行ってしまった女性も出てくるのですがなんだか落ち着かない模様。パリ症候群というものもあるみたいですから…。2020/03/20
はるを
104
🌟🌟🌟🌟🌟。(ややオマケ)¥110。だから俺は山内マリコが大好きなんだよ、と改めて思わせてくれた作品。上手く説明出来ないんだけど、なんていうかこの単なる思いつきで書いたように見える計算された作品群。「ありふれた日常」とそれだけで終わらせない「読ませるなにか」を混ぜ込む絶妙なバランス。読む事を重く感じさせない。あるいはその前に潔くスパンと切り落とし話を終わらせるテクニックに脱帽。そして、そのままの俺でも、少しだけ元気になれる。少しだけ前向きになれる。山内マリコを読むなら迷わずコレからオススメする。2021/09/23
ゴンゾウ@新潮部
103
最近、気になっていた山内マリコさん。パリに憧れるあらゆる世代の女性達の短編集。とても洗練された文章で読み易くあっと言う間に読んでしまった。女性達の内面の描写が巧みでした。【ナツイチ 2017】2017/12/23
あも
100
パリ行ったことないわー。いや、これいいな。自分みたいなもんよりも、女性陣に是非オススメしたい。自分が女性誌の編集者なら、迷わず連載もぎとってくる。オシャレでちょっと寂しくて、だけど軽やか。女性の強さと魅力をサラリと書くのが本当に上手い。20代から70代までの様々な年齢と立場の女性達。「パリ行ったことない」をキーワードにポツリポツリと配された短編が、第2部で優しく繋がる。大きな感動ではなく、小さな、些細だけれど大切な勇気を与えてくれる。一歩前に踏み出す力を与えてくれるような小説。僕は南米に行ってみたいです。2018/08/30