出版社内容情報
人間関係の悩み、愛猫の死……。人生に行き詰まった著者が決意したのは「合宿で運転免許を取る」こと。旅立った長崎県・五島の小さな自動車学校には、意外な出会いや発見が待っていた。(解説/高橋源一郎)
内容説明
愛する猫をなくしたうえに、人間関係はズタズタ。いやな流れを断ち切りたい。日常に小さな風穴を開けたくて向かったのは、島の小さな自動車学校。そこは、山羊や犬やにわとりがいて、馬にも乗れる牧場のような学校だった!人生の示唆に富む運転教習に悪戦苦闘しながらも過ごした数週間。人や動物や車とのふれ合いから見えてきた風景は?読めば、新しい何かに挑戦したくなる名作エッセイ。
目次
第1章(それはにわとりですか?;自動車学校で馬に乗る?? ほか)
第2章(新しい生活;初めて車を運転する ほか)
第3章(世界が逆転する;不思議な教科書 ほか)
第4章(車脳;逃避行 ほか)
第5章(仮免;路上デビュー ほか)
第6章(五島は「出る」;それぞれの旅立ち ほか)
第7章(免許取得;地獄篇 ほか)
著者等紹介
星野博美[ホシノヒロミ]
1966年、東京都生まれ。作家、写真家。2001年、返還前後の香港を描いた『転がる香港に苔は生えない』で第32回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。11年、『コンニャク屋漂流記』で第63回読売文学賞随筆・紀行賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
52
「転がる香港に苔は生えない」に感銘を受けて以来、著者には完全無欠なイメージを抱いていたが人間関係にクヨクヨすることもあるのだと親近感。それにしてもなんと爽やかな読み物なのだろう。新しいことを始めたい人、環境を変えたい人、挑戦したい人にぴったり。2017/10/01
けぴ
41
ノンフィクションライターの星野博美さん。東京にお住まいですが長崎の五島列島の福江島へ行き合宿免許に挑む。この自動車学校では何と馬にも乗れる!周りは海に囲まれ最高の環境。しかし、運転が中々上手くならず、仮免許がとれない。後から入所した若者に次々抜かされる。最後には寮長と呼ばれるまでに。諦めかけるが、校長先生他の優しさに助けられ何とか合格へ。もしこれから免許をとるなら五島へ行きたくなる良い話でした。酒井順子さんのお勧め本。2018/11/22
penguin-blue
31
自慢じゃないが免許を取るのは苦労した。卒検受かったのも黄金週間で都内の路駐が少なかったから。それでもなお星野さんの悪戦苦闘っぷりには遠く及ばない(まあ、今とったら似たようなものかも。)。でもそれも、正面から運転とががっぷり四つに組んで何としてもものにしようと頑張ったからこその産みの苦しみだったのかも。そして、先生達、生徒たち、出会った人々みんながとっても魅力的なごとう教習所。あんまり素敵なので、何だか実在の場所ではなく、ファンタジーの世界の中の場所みたい。国内で、しかも合宿免許なのに立派に旅の本の読後感。2017/09/27
さすらいのアリクイ
23
ノンフィクション作家である著者の星野さんによる、離島の自動車学校へ車の免許を取りに行くエッセイ。著者の行動力や、元々持っている意識、視点、こだわりなどのおかげで、免許取得の日々の記録が旅をしているような日々にも読めるのがかなり面白いです。最初は車の性能にいちいち驚く場面、なかなか自動車学校の外の講習に進めないもどかしさに共感。そして学校の先生や生徒たちとの交流などに笑ったり、ジーンときたり。自動車学校がある長崎県の福江島の風景描写も本のあちこちで楽しめる、免許取得の大変さと旅の醍醐味を味わえる本です。2017/02/21
nonicchi
19
星野さんのお住まいは私のご近所。「戸越銀座でつかまえて」で初めて知り、今回2冊目。品川区の荏原図書館で見つけました。星野さんと年齢も近く、来年以降地方に行く可能性が高く、自動車の免許を取得しなければならない自分にとって、とても為になる一冊でした。出来れば私もこの島で先生方の厳しくも暖かい指導の下、乗馬も楽しみつつ免許取りに行きたくなりました。私は田舎で運転する事前提ですが、地元の戸越界隈を運転してるって、すごいなとも感心しております。2017/10/22