出版社内容情報
隣人殺しで32歳無職の森塚が逮捕されたが犯行を否認。鶴見弁護士が森塚に接見するも、供述が二転三転。元彼女はDVストーカーの森塚を極端に恐れるが……。号泣ミステリー。(解説/小梛治宣)
内容説明
森塚翔太は、包丁で隣人を刺殺し、現行犯逮捕された。だが、凶器は被害者が持ってきたと主張し、殺意を否認。担当弁護士の鶴見は、接見のたびに供述を二転三転する森塚に不審を抱く。さらに森塚のDVから逃げている女性の存在が明らかになり…。阪神淡路大震災から20年の時を経て明らかになる驚愕の真実!償いとは何かを、犠牲者たちへの祈りを込めて描く、号泣ミステリー。書き下ろし。
著者等紹介
小杉健治[コスギケンジ]
1947年東京都生まれ。83年、データベース会社に勤務の傍ら執筆した『原島弁護士の処置』で、第22回オール讀物推理小説新人賞を受賞。88年『絆』で第41回推理作家協会賞、90年『土俵を走る殺意』で第11回吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tsuyoshi
69
隣家トラブルから発展した殺傷事件。被疑者である森塚翔太の弁護にあたった鶴見弁護士。二転三転する供述に裏があるとみた鶴見が真相を追求していく。阪神、東日本と二度の震災を経験した被害者の宇田川の寡黙な善人という人間像に隠された本性や過去に加え、森塚が否認から一転する真意など度々驚かされた。震災をテーマに扱っている中での意外な展開にしてやられたなぁといった感じ。2018/04/23
Satomi
65
被害者は阪神淡路大震災、東日本大震災の被災者。震災による心の傷は読んでいてつらくて、逃げだしたくなるような気持ちになってしまうのです…。被告の二転三転する供述にイライラされらるものの、その供述に真摯に向き合う弁護士の鶴見には好感が持てた。敵役の皆川検事もなかなかの男前な神対応。脇役にしておくにはもったいない。面白いキャラ揃いでした。2017/01/04
いつでも母さん
51
鶴見弁護士シリーズ。コロコロかわる森塚に怒りを覚えながら読み進むが、そのうちに二つの震災を上手くからませた事件に私も翻弄されてしまっていた。皆川検事のVS鶴見の構図も面白かった。これは郷田検事の云うように鶴見弁護士の『負け』なのだろうか・・法曹界は勝ち負けがすべてなのかぁ?鶴見弁護士のような弁護士に、私の時もお願いしたい(笑)号泣はしなかったが一気に読みきった。2015/07/15
Rin
46
ストーリーに震災を取り入れているので、賛否は分かれると思います。それでも作者なりに「忘れてはいけない」という気持ちがあるのかな、とも思いました。隣人トラブルによる殺人。そこから被告の証言が二転三転するので、その度に事件の表情も変わるので、読んでいても何を信じていいのか、どこから真実を導きだすのかと、ちょっとイライラもしてしまう。けれども、そんな被告の証言もまずは受け入れようとする鶴見弁護士の信念とぶれない姿はさすがでした。まさかの真実と今までの作品とは違う物語の終わり方。でも読了感は悪くないです。2015/12/22
はつばあば
46
弁護士も大変な仕事だと思う。被告人が悪いとわかっていても弁護をしなくてはならないし、減刑を勝ち取らねばならない。検察庁もやっかいな仕事だと思う。刑事が犯人を逮捕しても確実な証拠が無い限り、裁判で覆される。ストーカーまでしていたとはややこしい被告だ。その時点で私の中では有罪。この被告、刑期もそんなに長くはないだろう。一般社会からどんなにはみ出して嫌われても、女の腐ったようなストーカーだけは止しとくれ。(苦笑)女の腐った様な・・だなんて、小学校の時そう言って先生から男の子は叱られてたのを思い出しました^_^;2015/08/18