出版社内容情報
昭和・平成の文壇を代表する作家渡辺淳一が死去して1年。男女小説、評伝小説、医学小説など多彩な作品を生み出した功績をあますことなく網羅した評伝の決定版。書誌、年譜の完全版を収録。
内容説明
札幌医科大学で学び、心臓移植問題を機に、整形外科医から文学の道へ進み、昭和・平成の時代、第一線の作家として活躍した渡辺淳一。谷崎・川端も書けなかった人間の“生”と“性”の本質を、自らの体験を冷徹に描くことで、文学の高みに到達した―。編集者として直木賞受賞の布石となる『花埋み』を書かせ、後に評論家として数々の名著を刊行する著者が、渡辺文学の全てを網羅する評伝決定版。
目次
評伝 渡辺淳一(昭和八(一九三三)年十月二十四日午前三時二十分
佐渡・小木
東京市麹町区麹町平河町五丁目三十四番地
北海道空知郡歌志内村字神威番外地
父渡辺鉄次郎・母・ミドリ ほか)
渡辺淳一書誌―二〇一四年十二月現在(著作一覧;文庫一覧;個人全集・作品集・編纂物一覧;翻訳書言語別・作品別・発行年順;小説初出誌一覧 ほか)
著者等紹介
川西政明[カワニシマサアキ]
1941年大阪市生まれ。中央大学卒業。出版社勤務を経て、文芸評論家に。97年、日中の文学交流を描いた『わが幻の国』で平林たい子賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こういち
10
自らの生き様を歴史に刻んだ「渡辺淳一」。卓越した視点と表現力は多くの読み手を魅了した。医術を司る側と受け入れる側、それぞれのココロの葛藤は、〝生〟というものの尊厳と儚さを教えてくれた。また、男と女の繊細なココロの機微を艶やかに、必ず訪れる別れを恐れず、妥協することを許さない美の極致に誘ってくれた。思えば、奏でるような流麗な文章は、四季折々の日本文化の情緒に溢れ、〝もののあわれ〟が見事に咲き誇っていた。天賦の才は静かに時を止め、伝説の人となった。2015/04/10
見ぇーた
0
「渡辺淳一の世界」に加筆改題したもの。後半は書誌・年譜だが、相当の詳しさ。実名入りの女性遍歴とその題名があり、この本を参考にそれらの本を読むと面白い。また、「告白的恋愛論」(のちに「わたしのなかの女性たち」角川文庫)を読むのも偽名などが分かってまた面白い。2024/09/07