出版社内容情報
明治の半ば、一枚のカツレツに出会った福井県の少年。上京し、裸一貫で西洋料理の世界に飛び込んでいく――。日露戦争以降の東京で、激動の時代と共に、力強く成長していく篤蔵の物語。TVドラマ化。
内容説明
小さいときから強情でいたずらっこだった篤蔵は、福井の大庄屋の次男坊。高等小学校の時、ひょんなことから鯖江連隊の田辺軍曹からご馳走になった“カツレツ”の味に仰天。彼の運命が大きく変わることに―。その後、家出同然に東京へ行き、西洋料理の世界に裸一貫で飛び込んでいく。明治生まれの若者が、日露戦争以降の東京で、激動の時代と共に、力強く成長していく立身出世の物語。
著者等紹介
杉森久英[スギモリヒサヒデ]
1912年石川県生まれ。東京帝国大学国文科卒業。旧制埼玉県立熊谷中学校の教師となった後、中央公論社編集部に入社。その後、いくつかの職を経て河出書房に入り「文藝」編集長となる。62年『天才と狂人の間』で第47回直木賞受賞。85年『能登』で第13回平林たい子文学賞、86年『近衛文麿』で第41回毎日出版文化賞を受賞し、89年勲三等瑞宝章を受章。93年に第46回中日文化賞、第41回菊池寛賞を受賞。97年1月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハイク
191
昨年テレビで面白く観て本を読んだ。著者はネットで調べると直木賞受賞者で伝記を得意としている。実在の秋山徳蔵は宮内省大膳職司厨長(料理長)を務めた人で、青年期から主厨長になるまでを描いた作品だ。細部はフィクション為混同を避け秋沢篤蔵と表記したと言う。またテレビドラマと比較すると細部は当然ながら脚色している。このような観点で読んでいくと脚本家の心中を勝手に想像しながら味わうと興味深い。上巻では主人公の特異な性格が描写されており、西洋料理のトップを目指し、フランス語を自ら先生について勉強する姿勢は素晴らしい。2016/01/20
抹茶モナカ
106
料理で身を立てようとする青年の物語。立身出世の物語のせいか、料理人の主人公の性格が、結構、悪いヤツで驚いた。悪いと言うか、ヤンチャと言うか。時々、時代背景として日露戦争の戦況が描かれ明治時代だという雰囲気が伝わる。その明治の空気が理解出来たのは、僕の場合、司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』のおかげで、知識が繋がる感じが心地良かった。2015/03/26
Rin
76
[借本]ドラマが面白かったよ、本も面白いよとの言葉と共に。少し文章が堅いかな、とは思ったけれど破天荒な幼少期。その破天荒さを失わないまま、料理人を目指す篤蔵についつい目が離せない。古い文献や昔のメニューはついつい流してしまいながらも、料理人たちの世界の厳しさや彼の生きる時代。洋食に馴染みのない彼がひとつのメニューと出会った衝撃は、どれ程だったのだろう。信念を曲げることなく、妥協もなく働く姿はなかなかできることではないと思う。篤蔵がどのように天皇の料理番になるのか、彼の辿る道が気になります。2018/10/03
七色一味
75
読破。おもしろいのか否かよくわからん作品、というのが第一印象ですかね。ぐっと惹き込まれていつの間にか読み進んでいる箇所もあるかと思えば、ふっと気が抜けて一度本を閉じてしまう部分もあり。実在の人物秋山徳蔵の生涯を描いたフィクションと取るべきか、ノンフィクションと取るべきか。まぁNDCが913.6なので、まるっきりのノンフィクションというわけでもなさそうですが。☆とにかく破天荒、頑固、自信家が全面に押し出されたキャラクターで、読んでいて「おいおい」とか思う場面が多々ありです。この人精神的成長が鍵かしらん。2015/06/28
きむこ
74
【呑み喰い週間@月イチ】ドラマが面白かったので買ったのですが長いこと積読していました。文明開化の時代。上巻は当時の洋食文化の説明が多かったので、かなり淡白な内容でした。篤蔵の料理に対する向上心は好感が持てるけれど、奥さんに対する態度は子供で身勝手すぎるし、職場を辞めることになった経緯も自業自得で共感できないなぁ。★32015/09/22
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