出版社内容情報
国境を越えて遺体や遺骨を故国へ送り届ける「国際霊柩送還」という仕事に迫り、死とは何か、愛する人を亡くすとはどういうことかを描く。第10回開高健ノンフィクション賞受賞作。(解説/石井光太)
内容説明
異境の地で亡くなった人は一体どうなるのか―。国境を越えて遺体を故国へ送り届ける仕事が存在する。どんな姿でもいいから一目だけでも最後に会いたいと願う遺族に寄り添い、一刻も早く綺麗な遺体を送り届けたいと奔走する“国際霊柩送還士”。彼らを追い、愛する人を亡くすことの悲しみや、死のあり方を真正面から見つめる異色の感動作。第10回開高健ノンフィクション賞受賞作。
目次
遺体ビジネス
取材の端緒
死を扱う会社
遺族
新入社員
「国際霊柩送還」とはなにか
創業者
ドライバー
取材者
二代目
母
オヤジ
忘れ去られるべき人
著者等紹介
佐々涼子[ササリョウコ]
1968年生まれ。神奈川県横浜市出身。早稲田大学法学部卒業。日本語教師を経てフリーライターに。2012年『エンジェルフライト国際霊柩送還士』で第10回開高健ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
318
タイトルからは、海外で亡くなった邦人のご遺体を運ぶ飛行機関連のお仕事ノンフィクションと思っていた。始めの20頁で自分の無知さを思い知る。本書は、国を隔ててお亡くなりになり、時間の経過や、移動機内の気圧の関係等で腐敗や傷みの激しいご遺体を、心と技術で生前のお姿に戻しご遺族に届ける尊い方々の話です。最も無知を恥じ、驚き怒りを覚えたのは、遺体をビジネスの玉としか考えない悪しき輩が絶えない事!ここに書くことさえ憚られるような遺体ブローカー達が海外には存在する!恐ろしい!『尊厳』について考えさせてくれる良書‼️🙇2020/05/30
修一朗
215
海外で亡くなった人や日本で亡くなった外国人を故国にお送りする仕事国際霊柩送還士。エンバーミングももちろんだが不慮の事故や事件で亡くなる人が多くかけがえのない人の死を受け入れられない遺族が「向き合って存分に泣くことができるように,最後にだった一度のさよならをいうための機会を用意する」ことがミッションなのだ。24時間年中無休。諸国の習慣の違いや機内の運搬,独特のエンバーミング技術技術的な内容についても触れられていたのでそっちも興味深かった。これからドラマ観ます。理惠さん役,米倉涼子さんなんだ。。2024/06/21
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
194
ずっと読みたいと思っていた作品。死は遠いようでいてすぐ隣に存在している。家族に看取られ安らかな最後を迎える保障は何一つなく明日海外で帰らぬ人となる可能性もあるわけだ。この本を読み「国際霊柩送還」なる言葉を初めて知った。良く考えれば不思議な話で彼らがどんなに懸命に尽くしても死者が蘇るわけでもないし、明日には骨になり荼毘に付されてしまう。それでも、最愛の家族に一目でも会いたいという遺族の想いの為に日夜努力を続けるエアハース社の人々。「ビジネス」ではあるのだが、それだけではない確かな想いが感じられる。★★★★★2015/02/07
takaC
180
国際霊柩送還士に運んでもらわないといけない寸前まで行った自分の経験を思い出しながら読んだ。2017/09/27
ユー
167
海外でお亡くなりになってしまった日本人、逆に日本でお亡くなりになってしまった外国の方々。我々の全く知らない所で誠実な橋渡しをしているのが、彼ら「エアハースインターナショナル」の皆様です。想像を絶する状況の中でも、揺れ動く事無く、自分達の責務を全うする姿勢は、絶対に真似出来ないと理解しました。受け入れから送り届け迄、深く深く関わり、その中でも、それが実施して当然の事だと言葉ではなく行動で表現する姿に感極まりました。他の人々では代わりは勤まりません。2021/03/16