出版社内容情報
1792年8月の蜂起で王権が停止され、立法議会に代わって国民公会が開幕。フランスは共和政へと突き進む。やがて開かれた国王裁判でルイ16世の死刑が確定し──。王政の最期を描く、衝撃の第12巻。(解説/安達正勝)
内容説明
1792年8月の蜂起で王権が停止され、国王一家はタンプル塔に幽閉された。パリの民衆は反革命の容疑者たちを次々に虐殺。街に暴力の嵐が吹き荒れ、立法議会に代わって国民公会が開幕すると、新人議員サン・ジュストの演説をきっかけに国王裁判が開かれることに。議員たちのさまざまな思惑が交錯する中、ついにルイ16世の死刑が確定し―。フランス王政の最期を描く、血塗られた第12巻。
著者等紹介
佐藤賢一[サトウケンイチ]
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年『ジャガーになった男』で第6回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。99年『王妃の離婚』で第121回直木賞を、2014年『小説フランス革命』で第68回毎日出版文化賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
38
文庫版の最新刊ではルイ16世の処刑までが書かれています。結構この小説ではルイ16世の人物像をかなり肩を持つような書き方をしていてそんなに悲劇的な感じではなく最後までもって行ってくれます。やはり小説ということでじっくりと長く読んでもらうためにはこのような書き方でいいのでしょう。様々な人物像がよくえがかれていると思います。2014/12/11
特盛
26
フランス革命の一つの区切り、それは王の処刑だ。この巻は処刑に至る直前のルイ16世の内面と量刑を巡る議会の紛糾が主に描かれる。行き過ぎた革命を恐れるジロンド派盟主のロラン夫人の葛藤と、民衆の声を盾にどんどん先鋭化していくロベスピーエルのジャコバン派のライジングは対照的。サンジュストの「王は存在が罪」という演説は衝撃。死を目前としたルイ16世がどの様に人生を総括したかは見もの。この巻での主要登場人物達は後に皆いなくなる。そして誰もいなくなった、だ。そう考えると交わされる全ての活動がなんとも儚く寂しく思える。2025/04/25
e
23
とうとう王が処刑され共和政に。実際の彼の心情はわからないけれど、この小説のような心情であればまだ救いがあるなと思いました。死の間際に妻を思いやれるなんてすごい、、、やはり王として生きた人は違うんだろうなと感じました。2018/12/02
Y2K☮
23
ルイ16世の最期がハードボイルド。実際どうだったかはわからない。でも議会や憲法に一定の理解を示していた彼が断頭台に上る結果になったのは、決して暗愚だったからではない。時代の要請である。彼もその身を挺して革命を先に進めた功労者なのだ。デムーラン以外のジャコバン派がおかしくなってきた。戦時中とはいえなぜ結論を急ぐ? なぜそんなに人の命に無関心? 可決する得票数の決め方も適当だし、そんな投票で王を死刑にするなんて。若さと無知故に最速で先へ進みたがるサン・ジュストに踊らされるな。大胆に、常に大胆に、且つ慎重に。2015/02/06
イトノコ
15
再読。9月虐殺、国王裁判、そしてルイ16世がギロチンの露と消える。話も2/3を終わり、ひとつの大きな転機を迎えた。どうやっても引き返せないところまで来た、と言うべきか。次巻からいよいよ物語も混沌としてきて…ルイ16世の処刑を皮切りにレギュラー陣も次々と退場する辛い展開になるなぁ。2019/09/19