出版社内容情報
1792年。捲土重来を期するルイ16世は、開戦派のジロンド派を中心とした内閣改造を実施。フランスは外国との戦争を開始するが──。フランス革命の全貌を描くシリーズ、新章突入!(解説/金原瑞人)
内容説明
1792年。憲法が制定され立法議会も開かれたフランスだったが、さらなる凶作と物価の高騰に民衆はいまだ飢え、苦しんでいた。そんな中、失墜した王家の威信を取り戻したいルイ16世は、国民の不満を国外に向けるため他国との戦争を望むジロンド派の面々を起用し、開戦内閣を組織する。反戦を主張するロベスピエールの抵抗もむなしく、フランスはついに戦争を開始し―。歴史巨編、新章突入!
著者等紹介
佐藤賢一[サトウケンイチ]
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年『ジャガーになった男』で第6回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。99年『王妃の離婚』で第121回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
49
ジロンド派の興亡と開戦が読ませます。フランス内外は相変わらず混乱しており、その後の展開の布石になっているのでしょう。ジロンド派は政争に躍起になる中で、ルイ16世が蜂起の予見をし、威厳を保っているのが流石だと思いました。挫折の中でロペスピエールも変わっているように見えました。革命は政府ではなく社会のためと見いだしたことで新たな方向へと導いていくのでしょう。2014/11/02
KAZOO
38
第二部の文庫版で3冊出たみたいです。ジロンド派の内閣が成立し、さらにルイ16世がオーストリアに宣戦布告しとあわただしい時代になります。文庫版のいいのは解説者が優れていることで、今回も金原さんがが枯れています。また年表が参考になります。今が全体のどの時期かということがわかります。2014/11/19
Book & Travel
29
人物の視点を次々切り替えながら進んできた本作。本巻では新たに登場したロラン夫人の視点を中心に、ジロンド派の国王を巻き込んだ権力争いが描かれる。革命の原点も民衆の苦しみも忘れた様な彼らの権力闘争を見ていると、理想に寄り過ぎながらも一貫しているロベスピエールやデムーランを応援したい気持ちが強くなる。後半は扇動された民衆がまたもテュイルリ宮に侵入し、ルイ16世が対峙する。何かが足りないが意外に思慮深く冷静なルイ16世の心情の描き方が本当に面白く、ルイパートが楽しみになっているのだが、そろそろ退場が近いのかなあ。2024/10/18
特盛
25
他国と開戦したものの、連戦連敗のフランス。当然、混乱である。声高に主戦論を唱えていた輩もどうすんだと。様々な思惑が交差する。してやったりのルイ、覚醒するロビスピエール、女性として政界を手玉に取るロラン夫人。後のさらなるカオスに至る前の、マグマだまりの様な様相だ。特にルイ16世はこの時が最も輝いている、すなわち自分の人生を生きている確信があったのではないか。さて、後半折り返し。11巻へ。2025/01/30
Y2K☮
16
初期の革命は専ら男がその担い手だった。その状況を打破すべくロラン夫人が登場。男と張り合うのでも女の武器で籠絡するのでもなく、サロンに集った男達を上品に立てつつ様々な仄めかしで彼ら(及び国家)を操らんとする。権利より権力志向。だが夫のロラン氏やジロンド派の優雅な面々はともかく、信念を激烈に貫くロベスピエールには通用しない。派閥闘争よりも民の現実に目を向ける彼はこの時点では理想の政治家。ルイ16世も侮れない。開戦後は用済みのジロンド派を切り捨て、食糧不足から宮殿に殺到した民衆を巧みに懐柔。なかなかのワルです。2015/01/14
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