出版社内容情報
29歳で急死したキャリアウーマンの多絵子。自由奔放に男性と関わり、相手によって態度を変えたが、誰も彼女の本当の顔を知るものはいなかった。何が彼女をそうさせたのか? 傑作長編。(解説/谷村志穂)
内容説明
29歳で急死した多絵子。男たちが嫉妬するほど優秀な営業ウーマンだったが、私生活は謎に包まれていた。ある年下の男は、彼女との奔放なセックスに溺れて別の世界に足を踏み入れる。またある男は自分のアブノーマルな性癖に気づかされ困惑する。一方で、その優しさや寂しげな姿に心奪われる男たちもいた。いくつもの顔を持つ女。彼女の目的は何だったのか。彼女の真実の姿とは。傑作長編。
著者等紹介
藤堂志津子[トウドウシズコ]
1949年、札幌生まれ。19歳で詩集『砂の憧憬』を刊行。広告代理店勤務を経て、87年小説『マドンナのごとく』で第21回北海道新聞文学賞を受賞。89年『熟れてゆく夏』で第100回直木賞、2001年『ソング・オブ・サンデー』で第8回島清恋愛文学賞、03年『秋の猫』で第16回柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
58
20代で死んだ彼女を、多数の男性の視点で語る。奔放で、たくさんの男を振り回していながら、本心を明かさない彼女に秘密はあるのだろうか。結構エロかったです。。。それにしても、毎回毎回最後までしてるのにずっと寝たふりってできるものだろうかねえ~~。反応すると思うのだけど2017/01/27
ぶんぶん
21
【図書館】29歳で自動車事故で急死した女性に纏わるエピソードを付合った男性目線で描く異色作。 この、師岡多絵子の生き方が興味がある。 男をとっかえひっかえの性に奔放な女は果たして生まれつきのものだったのか。 高校時代の純真な乙女をこうまで変えてしまった原因とは。 取り巻く男どもが、そもそも原因では。 野望途中で敗れたという事が悲しくなる終章であった。 25年も前に書かれた作品とは思えない現実感にただただ、茫然!2025/04/03
Book・CaFe
19
29歳で事故死した容姿端麗で知的な商事会社の営業ウーマン諸岡多絵子。生前の男性たちとの関わりが章ごとに描かれている。多絵子の悪女ぶり(?)が淡々ながらも安定感のある文章で先を読ませる。初版が20年前で携帯電話が普及される前の作品。男女の連絡ツールはもっぱら固定電話と手紙のみ。読み終えて、時代が変わってこの現代社会が舞台ならば、多絵子はどんな悪女ぶりを発揮するのだろうかと想像してしまった。多絵子の家庭環境と生い立ち•家族構成が描かれてなかったのが残念2014/08/07
桜もち 太郎
11
29歳という若さで交通事故で急死した主人公の多絵子。付き合う男たち誰もが彼女のエキセントリックさに飲み込まれていく。彼女の本当の姿を証言するように6つの物語がある。と言っても物語的にはさほどの深みはなく、多絵子の女としてのプライドが目立っていた。そして頻繁に出てくる「形の良い豊かなバスト」が印象的。結局多絵子は悪女として扱われている。キャリアウーマンで男に負い目を感じない多絵子に若干は惹かれるが、自分が関わったらきっと痛い目を見るのだろう。初読みの作家。2021/12/25
音
7
主人公に振り回された男性達の短編集に思える作品。なぜ彼女は男性ごとに態度を変えれたのか………っ思えてラストを期待したんだけど、なんかラストは……うーんって感じで(笑)期待しすぎたかな。2016/08/09