出版社内容情報
エチオピア、ネパール、メキシコetc…世界中の国を旅するなかで、著者は様々な食文化に出会う。“食"から見えてくる、土地と人びとのかたち。開高賞作家による珠玉のノンフィクション!(解説/森枝卓士)
内容説明
食べ物を通じて人に出会い、出会った人と食事を共にする。ゲロ雑巾と揶揄されるエチオピア料理“インジェラ”の妖しい魅力にとりつかれ、メキシコで本場のタコスに舌鼓を打ち、ルーマニアでは現地の若者が作る卵焼きを食べる。自宅のテレビから得られる膨大な知識よりも、旅で得られるわずかな手触りにこそ真実がある。気鋭の開高賞作家が世界中を渡り歩いて綴ったノンフィクション。
目次
インジェラ―エチオピア
サンボル―スリランカ
水―スーダン
野菜スープと羊肉―モンゴル
ジャンクフード―ボツワナ
BBQ―香港
キャッサバのココナツミルク煮込み―モザンビーク
ビールと屋台飯―タイ
臭臭鍋と臭豆腐―台湾
ヤギの内臓―ネパール〔ほか〕
著者等紹介
中村安希[ナカムラアキ]
ノンフィクション作家。1979年京都府生まれ、三重県育ち。2003年カリフォルニア大学アーバイン校、舞台芸術学部卒業。09年『インパラの朝』で第7回開高健ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アッキ@道央民
54
世界各国の食を通じてその土地土地の人々とのふれあいを描いたノンフィクション。旅先で見たり触れたり感じたりした事をシンプルに書いてあり、読みながらでもその場所の空気感も伝わってきますね。南京虫が出るような場所に泊まった時のお話しにはびっくり・・・。これは読むだけでの体験で良いかなぁ。自分だったら夜も満足に寝られ無いだろうな。ネパールでのヤギの内臓など食べるお話し・・・。こんなの見てしまったら自分だったら食べられないのでは?日本編では北海道に来たんですね。鹿肉を炭火で焼いて食うのは最高だよね♪2017/04/15
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
27
食に重きを置きながら世界中をバックパッカーとして旅したエッセイ。多分再読。南京虫が出るような物凄い所に泊まって涙を零したり、怪しげな人につい付いて行って怪しげな所に泊まったり映像を見るように淡々とした文章。グルメや郷土料理という訳ではなく、そこで会った旅人や地元の人とそこにあるものを食べる。ただ、後書きの旅行作家がよくない。旅行会社のツアーで卒業旅行にいく大学生を知り驚いた、とある。大きなお世話。最初の旅行がツアーだという事は多いのだ。上から目線でちょっといや。2016/07/06
Mayumi Hoshino
20
食べ物を通じて出会う、世界中の、人、ひと。といっても必ずしもその国独自のメニューを食すとも限らず、例えばアフリカのボツワナでは、なりゆき的にどこでも食べられるようなハンバーガーやフライドポテトを食していたりする。というのも、著者の中村さんは「自宅のテレビから得られる膨大な知識よりも、旅で得られるわずかな手触りにこそ真実がある」という信条の人だから。「何を」よりも、「誰と、どんなシチュエーションで食べたのか」が肝心だから。ついついガイド本に頼ってしまう私としては、身につまされる思い。(コメント欄に続く)2015/05/06
ほっしー
19
世界を旅する著者が津々浦々の食べ物とその国で出会った人々との交流が綴られたノンフィクション。冒頭に登場する“ゲロ雑巾”と揶揄されるエチオピア料理「インジェラ」のインパクトがすごい。でも、最終的にその魅力に取りつかれてしまうのは不思議だ。スーダンの「水」も印象的。海外では生水は危険とされているけど、水甕の水=浄水したナイルの水は安全で美味しい水だった。様々な世界の食文化に触れながらも日本のインスタントラーメンに落ち着くあたりが日本人だなあと思った。日本国内の旅が好きだけど、海外の旅も興味深いなあと感じた。2017/07/24
氷柱
12
289作目。1月29日のみ。タイトルに惹かれ古本屋で購入。ちょこっとわかり辛い部分はあったものの、基本的にさっぱりとしていて読みやすい。海外の食を中心に据えた紀行文。足を使って実際に見たものをシンプルに描いている。ものすごくシンプルに描かれているので、きっとこの裏にはここでは描かれていない壮絶な戦いがあったのだろうなとしみじみ思う。あまり誇張がないと思えるほど伝わってくるものの鮮度が高い。心地が良いとは言えない暑さや寒さ、そして味や食感やにおいがダイレクトにやってくる。これぞ理想の紀行文。2017/01/29