出版社内容情報
自称「貴族」で趣味は「探偵」という謎の男が、コネと召使いを駆使して事件を解決! 斬新かつ精緻なトリックと過去に例のない強烈なキャラクターが融合した、奇跡の本格ミステリ集。(解説/千街晶之)
内容説明
信州の山荘で、鍵の掛かった密室状態の部屋から会社社長の遺体が発見された。自殺か、他殺か?捜査に乗り出した警察の前に、突如あらわれた男がいた。その名も「貴族探偵」。警察上部への強力なコネと、執事やメイドら使用人を駆使して、数々の難事件を解決してゆく。斬新かつ精緻なトリックと強烈なキャラクターが融合した、かつてないディテクティブ・ミステリ、ここに誕生!傑作5編を収録。
著者等紹介
麻耶雄嵩[マヤユタカ]
1969年三重県生まれ。京都大学在学中の91年『翼ある闇―メルカトル鮎最後の事件』でデビュー。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門、第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。同書は『2011本格ミステリ・ベスト10』国内ランキングでも1位を獲得した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 5件/全5件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
490
麻耶短編集消火強化中につき。キャラは面白い(20代後半で立派な口髭という外見はどうかと思うが)、というより完全キャラ先行。短編集になるのに10年かかったというのも、クォリテイに拘って、というか、思いついた時に楽しんで書いたからではないか。短編ゆえに推理の説得力が弱く、後出しで「ここを調べればこういう証拠が出るはずです」でほとんどを済ませてしまっているのが気になるが、見方を変えれば、貴族探偵の貴族っぽい解決シーンの演出としてはそれがピッタリなのかもしれない。ご指摘が多々あるように、彼は何もしていないが…。2016/08/22
カメ吉
180
『貴族探偵対女探偵』を先に読んでしまって順番が逆だったのが残念。本作の方が面白かった。 単純明快なミステリーであっさりとした、私の様な鈍い者にも読める素人好みの作品でした。 因みに最後の『春の声』では、貴族探偵と使用人以外の登場人物の苗字が全て私の地元の滋賀県の近江鉄道って私鉄の駅名でした。 意外な楽しみもありました。2017/04/19
優希
116
確かに貴族だとしか言いようがありません。探偵でありながら推理はしない。面倒なことは全て使用人任せ。自分は偉しとばかりな態度。ここまでくるともうアッパレ以外の何事も言葉にできません。それなりに面白い設定だと思います。話としては可もなく不可もなくといったところでしょうか。2017/04/22
mocha
114
やんごとない身分にありながら、趣味で探偵をやっている「貴族探偵」。実は、捜査も推理も有能な使用人任せという、キテレツなキャラクターが面白かった。「館」とか「密室」とか「入れ替わり」など、古典的なスタイルの中で遊んでいるような印象だった。2016/05/28
hit4papa
109
麻耶雄嵩作品には既成の概念をぶっ壊す破天荒さを期待しますが、本作品集は真っ当な本格ものでフツ―に楽しめます。多少目をひくのは、得体が知れぬ高貴な身分の探偵と、彼の手足となって事件の謎を(実際に)解き明かす執事、運転手、メイドというキャラクター設定の妙です。事件の発生から解決まで短編ならではでスッキリとまとまっており、衒学的なくどさがないので読みやすくはあります。「こうもり」の現実離れしたトリックやオチは著者の作品らしいのですが、全体的に物足りなさを感じるのは長編でみられる”らしさ”が希薄だからでしょうか。2017/03/17