出版社内容情報
妻の死後、無為な日々を過ごしていた僕が出会ったのは、小説家にしてギャンブルの神様。色川武大との交流が僕から恐れを取り除いてくれた──。自伝的傑作、ドラマ化!(解説/村松友視)
内容説明
最愛の妻である女優と死別し、ボクは酒とギャンブルに溺れる日々にあった。そんな折、友人のKさんが、初めて人を逢わせたいと言った。とてもチャーミングな人で、ギャンブルの神様として有名な作家、色川武大(阿佐田哲也)その人だった。先生に誘われ、旅打ちに一緒に出かけるようになる。先生の不思議な温もりに包まれるうち、絶望の淵から抜け出す糸口を見出していく。自伝的長編小説の最高峰。
著者等紹介
伊集院静[イジュウインシズカ]
1950年2月山口県生まれ。立教大学文学部卒。91年『乳房』で第12回吉川英治文学新人賞、92年『受け月』で第107回直木賞、94年『機関車先生』で第7回柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で第36回吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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むーちゃん
129
伊集院作品はいつも少し悲しく、切ない。 ただ、悲しみだけじゃなくて何となく生きていく上での心得を教えてくれる。そして、出会い、尊敬する人からの言葉って大事だなと。2019/03/11
じいじ
99
実在する最愛の妻を失った作者が、自暴自棄に明け暮れる毎日を過ごしていた。そんな窮地の彼を救ったのが【いねむり先生】だった。先生のシャイでチャーミングな人柄は、こちらを読んで初めて知りました。これまでの先生へのイメージは、麻雀勝負師の厳めしい顔つきしか知りませんでしたから…。この自叙伝的小説が伊集院さんの再起の切っ掛けになったのだろうと思います。とても愉しくて、心に沁みる素敵な一冊でした。2021/06/20
ホークス
43
著者自身を主人公として、いねむり先生(阿佐田哲也=色川武大)と過ごした日々を描いた自伝的小説。妻(夏目雅子)を亡くして2年。アルコール中毒、精神疾患、実家との確執の中で、主人公はいねむり先生と出会う。自身も精神疾患を抱えながら、人生に困難を抱えた人ほど魅了する不思議な存在。全てを静かに受容する先生の力を借り、主人公も再生のきっかけを掴んでいく。優越感に飢え、過剰なプライドに苦しむ大人の男が、かつて阿佐田哲也のギャンブル小説に夢中になった。私もその一人で、今ようやく謎解きができた。2020/09/21
扉のこちら側
42
初読。2015年229冊め。幻覚と博打というなかなか縁のない話だったが、女優の妻をなくした著者がどう快復していくか先が気になって読んだ。2015/03/07
ひろぞー
40
伊集院先生は初。繊細な文を書く方なんですね。主に「先生」とサブローの物語ですが、先生の温かさにほっこり。こんな人いるんですねー。いるだけでその場が明るくなる人間とかって、なりたくてなれるもんじゃないでしょ。サブローを先生のやり方で見守ってくれてたんだろうなぁと思う。こんな人に出会ってみたいなぁ。麻雀も競輪もしない私だけど二人とも好きなんですね。笑。ルールが分からん。2016/11/27