内容説明
細工人与左衛門と多美の暮らしに出牢した佐七が入り込む。佐七は、加賀騒動で失脚した大槻伝蔵の遺児たちの救出を誓っていた。凶作に続く大火で仕事を失った与左衛門は、大槻残党の復讐に加担し…。史上名高い加賀騒動と希代の大盗賊、ふたつの事件が絡み合い、重なり合う。変わりものの若き藩主、恋に溺れる後室、復讐の鬼と化した若者、謎の浪人など、多彩な人物が熱く織りなす壮大な時代絵巻。
著者等紹介
諸田玲子[モロタレイコ]
静岡市生まれ。上智大学英文学科卒。1996年「眩惑」でデビュー。2003年『其の一日』で吉川英治文学新人賞を受賞。07年『奸婦にあらず』で新田次郎文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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本ぺんぎん
4
長かったー。タイトルよし。読後感よし。2017/02/12
読卓
4
自分の不幸が恨みに変わり、悪事に手を染める与左衛門。人の不幸のために、手を尽くす佐七。人生って考え方しだいで大きく変わるものだ。2013/08/04
かずぺん
3
輪廻転生。歴史は繰り返されるとも言いましょうか。与左衛門は前を見て生きていくことができない人間ですね。でも、当吉はほっとした。2013/09/28
堀越 隆史
2
良作でした。 上巻で戸惑った登場人物の多さは、もう出揃っていたらしく、後半はスムーズに読むことができました。 時代背景もしっかりストーリーの背後にしみ込んでいて、当時の情景を十分に味わえます。 その上で主人公たちのそれぞれの想いが良く伝わってきました。 ふと思い立って読んでみた本ですが、良い一冊に出会えました。 ひとにもお勧めできる本だと思います。2014/09/10
sai
2
連座制の理不尽を憎み憤っていた与左衛門が、多美との関係を壊したくないのに、自分の気持ちを言葉にできずにすれ違い転落していく様が悲しい。与左衛門の罪で多美、幼い当吉、さらに多美の兄まで捕われからは、一気に話が進んでいき、父子の罪が言い渡され処刑される場面では息をのみ、先を読むのが怖くて躊躇われ、改めて連座という制度の恐ろしさを実感した場面だった。2013/08/24