出版社内容情報
男が練炭自殺。親しかった美奈子に容疑がかかる。鶴見弁護士は、弁護のため美奈子の過去を探るうち、彼女が真犯人ではないかと疑う。苦悩する鶴見は真相を求めて…。長編ミステリ。(解説/小梛治宣)
内容説明
河川敷の車から、男の死体が発見される。練炭自殺かと思われたが、不審な点があり、男と関係のあった銀座ホステス美奈子に容疑がかかる。弁護人の鶴見が調査を開始すると、彼女の周りで数名の男が死んでいる事が判明した。疑惑をもつ鶴見だったが、ある団体と美奈子の繋がりが浮かび…。悪女か、聖女か?魔性に翻弄されながらも真実を求めて闘う弁護士。長編ミステリー。渾身の書き下ろし。
著者等紹介
小杉健治[コスギケンジ]
1947年東京都生まれ。83年、データベース会社に勤務の傍ら執筆した『原島弁護士の処置』で、第22回オール讀物推理小説新人賞を受賞。88年『絆』で第41回推理作家協会賞、90年『土俵を走る殺意』で第11回吉川英治文学新人賞を受賞。時代小説も含め、著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tsuyoshi
81
練炭自殺と見られた男の殺人容疑がかかったホステスに弁護依頼された鶴見弁護士が無実を証明すべく奔走する話。関わった人間が次々自殺するという展開に木嶋某氏の事件が浮かんだが、本作は全く違う展開。自殺者と彼女を結びつける医療施設の存在と自殺に対する独自の考えに彼女が感化された事実が明らかになっていく。個人的には「死ぬ権利」は他人が無理矢理止めるべきではないと思っていて、いざとなったら幇助施設があって様々な考えにも触れられる事は心の支えにさえもなり得ると思ってしまうのだが。やはりいけないことなのだろうか?2018/04/24
Rin
46
「信じられるなら、見方も、受け止め方も変わる」この言葉には、鶴見弁護士同様に読んでいるこちらも、なるほどと思わされる。美人ホステスに関わった人間の数々の練炭自殺…。彼女を疑っているのか、信じることが出来るのか。鶴見弁護士が心を、事実を見極めると決めてからは、事件の表情も変わってきた。他の方も感想に書かれているようにちょっと警察の捜査が杜撰というか甘すぎるかなぁと気になる点もあるけれど、実際の事件を彷彿とさせつつ、自殺についての様々な考え方も出ており答えを出すのは難しい。軽くて読みやすい作品でした。2015/11/03
yu
38
久しぶりに小杉さんの作品を。 大好き法定モノだったこともあり、読み応えあり。人の死に対する考え方は、人それぞれ。自殺というものの捉え方も色々あって、何が正しいとかは一概に言えないと感じた。2015/05/31
きっしぃ
30
美人ホステス美奈子の周りで起きる練炭自殺、疑惑の美奈子について前半の警察側と後半の弁護士側からそれぞれ見ることで、どんどん美奈子への印象も変わっていった。 読んでから知ったけど、シリーズものだったみたい…?2016/06/12
となりのトウシロウ
27
鶴見京介弁護士シリーズ。本作のストーリー展開は見事。前半は警察捜査側視点で話が展開する。銀座のクラブの美人ホステス小堀美奈子の周りで自殺を含む不審死が多発。積み上がる状況証拠は美奈子犯人説を固めていくその様を読者の頭に叩き込む。鶴見弁護士が美奈子を無実に導けるのかと思わす。当初、美奈子の無実を信じるものの、美奈子が明らかに嘘をついている事が分かり動揺する京介。真実を追求する鶴見京介弁護士の真骨頂が発揮される本作。尊厳ある死という骨太いテーマが根底にあり、読者に訴えかけてくる。涼介の男としての一面がいい。2018/11/17