出版社内容情報
ふわとろオムライスの春。海の家のあつあつ焼きそばの夏。奥深いジビエの秋。心も体も温まる豚汁の冬。おいしい四季を巡る物語!
内容説明
海の家でひと夏アルバイトをすることになった大学生の海夏人。灼熱の太陽のもと、ひたすら焼きそばを作る機械と化すが…(「夏の鉄板前は地獄」)。震災で夫を亡くして以来、孤独に生きてきた冬美。スーパーで万引きしようとした空腹の小学生に、夫が好きだった豚汁をふるまって―(「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」)。巡りくる季節と人と命をつなぐ、とびっきり美味しいごはんの物語!
著者等紹介
行成薫[ユキナリカオル]
1979年生まれ。宮城県仙台市出身。東北学院大学教養学部卒業。2012年『名も無き世界のエンドロール』(『マチルダ』改題)で第25回小説すばる新人賞を受賞してデビュー。21年『本日のメニューは。』で第2回宮崎本大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Karl Heintz Schneider
55
「本日のメニューは?」「できたてごはんを君に」に続くシリーズ第三弾。どうやら2年ごとに刊行されるらしいこのシリーズ。どの話もヨダレがたれそうなほどおいしい描写がたまらない。第一話 YOLO?そうか!そういう意味だったのか!第二話「夏の鉄板前は地獄」まぶしいぐらいの青春譚。むしょうに焼きそばが食べたくなる。肉なんかちょっとした入ってなくてキャベツも野菜クズみたいのしか入ってなくてとどめは真っ赤な紅ショウガときた。でも、それがいいんだなあ。2025/05/30
papapapapal
45
シリーズ3作目、やっぱり好き♪ そこそこ繋がってるので全巻揃えて読み直したい! 食に纏わる短編4つとそれぞれの+α。我流料理人の意地とプライド、バイトくんの意識が変わる瞬間、命を頂くことと職人の職人たる所以…どのお話も甲乙付け難い。子も親戚もおらずひとりで夫の五十回忌法要を済ませた老婆、寂しいけどそんな人生もあるなぁと読み始めたけど、いやいや寂しいなんてとんでもない! 必要に駆られて豚汁を作り続けた彼女の奇跡みたいな物語は、そのまま映画になりそうなくらいパワフルで刺激があって感動的。めちゃくちゃ良かった!2025/05/07
horihori【レビューがたまって追っつかない】
34
行成さんのごはん小説第3弾。「YOLO」友人のキッチンカーで営業を始めた綱木が師匠の娘の為にオムライスを研究「夏の鉄板前は地獄」大学生の海夏人は海の家のバイトで焼きそばを極める「サンクス・ギビング」実家の稼業が嫌で都会に就職した千秋は、仕事の取材でフランス人シェフと実家に帰る「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」震災で亡くした夫の大好物だった豚汁が地元で大人気メニューに。章間に挿入される「おむすび・結」どの話も季節感に溢れ、ごちそうがいっぱい。前作からの登場人物が緩くつながり、後日談も楽しめた。2025/05/21
mayu
29
大好きな「本日のメニューは。」から始まるシリーズ3作目。イノウエゴハンの璃空からキッチンカーを借りている綱木のオムライスから始まり、焼きそば、パセリ、豚汁とさまざまな料理と前作にも出てきたおにぎり屋「結」を起点に緩く繋がりのある物語。短期間で若者が成長する姿に青春だねぇ!いいねぇ!となった海の家の鉄板で焼きそばを焼く話が一番好きだった。そしてオーベルジュの食材への愛が溢れているクロエさんのフルコースが美味しそうすぎる。誰かに喜んでもらいたいと思いながら料理を作る人達の想いが溢れた一冊。2025/03/23
たっきー
14
ごはんシリーズ第3弾。4作の間に挟まれている「おむすび・結」のストーリーとおむすび、豚汁が美味しそう。海の家を舞台にした「夏の鉄板前は地獄」が好み。「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」は早くに夫に先立たれ、家族のいない冬美が子ども食堂を運営し、そこで育った子どもが立派に成長を遂げるストーリーは、内容としては良いけれど、そもそも子ども食堂自体を賛同できないので、あまり子ども食堂を感動ストーリーのモチーフとして使ってほしくないなという気持ちに。 2025/06/04