内容説明
京都で孤独に作陶を続ける高義は、土を採りに入った山中で、傷だらけの少年と出逢う。少年は駆と名付けられ、いつしか師匠と弟子として、寝食を共にするように。親から愛されずに育った駆にとって、初めて手にした安穏だった。しかし、高義の実の息子が帰ってきたことで、状況は一変。居場所を失いたくない駆の心は、徐々に暴走し始め―。三人が一つの巣で暮らすことは叶うのか。濃密な家族小説。
著者等紹介
富良野馨[フラノカオル]
『少女三景―無言の詩人』で第2回ウィングス小説大賞優秀賞を受賞。2016年『雨音は、過去からの手紙』でデビュー。20年『真夜中のすべての光』で講談社NOVEL DAYSリデビュー小説賞を受賞しリデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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相田うえお
71
★★★★☆24109【カッコウ、この巣においで (富良野 馨さん)】初読み作家さん。本屋に行ったら何かの特設コーナーに本作品が並べてあったのでなんとなく手にしてみたんですけど、これ、『当たり!』でした。序盤は、母親の乱れた生活に振り回される駆(主人公)のキツいシーンがあるのですが、その後、彼は陶芸一家と出会ったことで少しずつ光が見えてくるんです。なのに!と話が流れていきます。とても考えさせられる家族小説で、読めば読むほど先が気になってしまう系です。そして、読了後、『本タイトル、ぁあ、なるほど』となります。2024/11/16
真理そら
47
虐待され瀕死の状態で窯元の主に助けられそのまま里子になった駆。穏やかに焼き物修行をする日々だったが、いきなり家出していた実子が帰ってきた。やっと見つけた居場所を守るために非力なカッコウ・駆は自分の醜さを意識しつつずるく立ち回る。巣に居続けようとする駆の必死さと絶望感が丁寧に描かれている。5個入りの小さなアンパンをスーパーで見るたびに思い出しそうな作品。2025/03/25
しばこ
12
家族の在り方について、考えさせられる内容。引き取られた先の人たちがみないい人すぎる(いい意味で)。2024/11/30
倫敦バス
5
良い本だった。母親から虐待され、窯元の男性の里子になった主人公(そんな簡単に保護した子の里親になれるのかな?)。自分の居場所を無くしたくなくて、里親と息子との仲をさらに悪くしようと嘘を付く。クライマックスが2箇所あって、1つ目だけでも十分一冊分の話になると思うが、それを理由に現在地を失いたくない、と主人公は嘘を付く。それによってさらに話が進み、2つ目のクライマックスへ。母親が主人公をそれでも手放さなかった理由を読者の想像に任せるのも良い。良い人との出会いばかりだが、この主人公にはそれぐらいでちょうどいい。2024/12/12
JUN
2
愛があればなんでもできる。気合いだ。2024/12/16
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