出版社内容情報
弟の死と家族の問題に苦しむ私は転々と各地で酒とギャンブルの日々を送るが、ある時弟を知る女性と出会い──。伝説の無頼小説。
内容説明
「ほらその目だ。昨夜と同じ目だ。あんたは酒を飲みはじめると、目がおそろしく冷たくなる」競輪場に向かうタクシーで相乗りになった男が、そう言って私のグラスにウィスキーを注ぐ。弟の死と家族の問題に苦しむ私は、罪悪感から逃れるために地方を転々とするその日暮らし、酒と女とギャンブルにまみれた生活を続ける。男の魂は何処へ辿り着くのか。そして弟の死の真相は―。伝説の無頼小説。
著者等紹介
伊集院静[イジュウインシズカ]
1950年2月山口県生まれ。立教大学文学部卒業。91年『乳房』で第12回吉川英治文学新人賞、92年『受け月』で第107回直木賞、94年『機関車先生』で第7回柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で第36回吉川英治文学賞、15年『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』で第18回司馬遼太郎賞を受賞。16年に紫綬褒章を受章。23年11月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りんだりん
19
最後の最後まで救いのない小説だった。弟の死の亡霊に取り憑かれているかのような主人公は、酒と女とギャンブルにまみれながら地方を転々としていく。アルコールに蝕まれた心と身体。現実と幻覚の区別がつきにくいのは主人公だけでなく読者である私たちも、だ。ミステリーであり、ファンタジーであり、生身の人間の話であり、なんだか不思議な作品。★22024/10/02
かずぺん
5
随分と前に書かれた本ですが、言葉の使い方は変わらず丁寧で、伊集院流です。新しい文章を読めないのかと思うと悲しいです。2024/12/03
よっしー
3
★32024/12/02
あきこ
1
この作品のなかの悲しみは果てしない。主人公は抱えきれない絶望と悲しみを背負いながら旅をする。旅といっても博打の日々である。どこまで行っても己から逃げることもできないし、心は癒えない。どころか次々に罪悪感を抱え込むようである。人間は忘れることができるはずだが、主人公はできないのだ。読んでいると同じように重荷を抱えている気持になってくる。これは作家の心の自伝なのか、こんなものを抱えて生きていたのかと思わせる。もう楽になったのだろうか。これからもウィスキーを見るたびにこの小説を思い出すだろう。2025/01/26
一彩
1
そこまで飲む?2024/11/13