出版社内容情報
徹底した取材を重ね、リアリティーにこだわる経済小説の旗手が、戦後から今日に至るファッション産業の栄枯盛衰を描く、傑作長編!
内容説明
非凡な才能で婦人服メーカーオリエント・レディの社長に上り詰めた田谷毅一。今や絶対的権力者となったが、株を買い占め、経営者に容赦ない要求を繰り返す“物言う株主”村上が現れ、状況は一変する。村上との攻防は次第に「会社は誰のものか」という日本中を巻き込む大騒動に発展していき―。リアリティを追求する経済小説の旗手が戦後日本経済の栄枯盛衰とともに描く、巨大産業の一大絵巻!
著者等紹介
黒木亮[クロキリョウ]
1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒業、カイロ・アメリカン大学大学院修士(中東研究科)。都市銀行、証券会社、総合商社勤務を経て、2000年、国際協調融資をめぐる攻防を描いた『トップ・レフト』で作家デビュー。大学時代は箱根駅伝に2度出場し、20kmで道路北海道記録を塗り替えた。ランナーとしての半生は『冬の喝采』に綴られている。1988年より英国在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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バイクやろうpart2
33
黒木亮さん作品、初読み作家さんです。『興亡』のタイトルが業界の浮き沈みを物語っているようで、手にしました。フィクションながら登場する企業も実在の企業名も多く、とてもリアルでした。華やかなイメージのある業界ですが、読み進むほど世の中の変化を早くキャッチ出来なければ生き残れないこと、まざまざと見せつけられました。アパレル産業から世の中を知ることの出来る素晴らしい本と思います。2024/07/04
はかり
16
これの中心モデルは東京スタイルだとか。村上ファンドが出てくるし、ユニクロやイトーヨーカ堂も出てくる。いずれも懐かしい。今や日本のアパレルは、中国やアジアでの戦いに出向いているが、果たしてどうなるのか。2024/06/07
Mark X Japan
8
どの業界も栄枯盛衰があるのが、痛感しました。当事者のその時代に必死に取り組んだ仕事が、後世への遺産です。ほとんど実名なのも読みやすいです。☆:4.02024/08/25
sekkey
8
すべてのアパレル会社がオリエント・レディのような軍隊式のブラック企業ではないだろうが、業界の風土・体質なのか現代にはとてもマッチしないだろう。自分ではとても務まらずすぐに逃げ出すに違いない。創業者池田を社長の座から追い落とした田谷に、育ちが悪さからか他人への思いやり配慮のかけらもないのが悲しい。後継者の育成もせず独りよがりでひたすらに利益追求。何が楽しいのだろうか? '80年代以降の文化、世相も描かれていて懐かしく読めた。2024/07/30
リョウ
6
ついに社長の座を奪い、王として君臨する。日本経済の上向きとともに会社の業績も上がっていくかに思えたが、バブルの崩壊や業界の変化とともに困難にぶち当たることになる。ファッション性は重視せず、品質のよさを売りにして高価格で売るというビジネスモデルは成り立たなくなる。生活必需品であるとともに、贅沢を追い求める商品の分野において、まさに興亡が激しい業界だからこその面白みがあった。2025/05/10