出版社内容情報
妻から離縁の申し立てができる、上州にある縁切寺・満徳寺。今日も事情を抱えた女たちが駆け込んでくるが──。著者初の時代小説!
内容説明
妻から離縁の申し立てをするには、縁切寺に駆け込むしかない―。夫の浮気に悩み、この世にたった二つの縁切寺の一つ、上州満徳寺へやってきたなつ。だが、そこにいたのは夫の情女で!?憤るなつに、美しき尼僧・慈白は、ここで助け合って暮らすように言い…。事情を抱えた女たちは、笑い泣き、時に励ましあいながら、人生の“雨宿り”の場で何を見つけるのか。迷えるあなたへ贈る連作時代小説。
著者等紹介
遠藤彩見[エンドウサエミ]
東京都生まれ。1996年、脚本家デビュー。99年、テレビドラマ「入道雲は白 夏の空は青」で第16回ATP賞ドラマ部門最優秀賞を受賞。2013年、『給食のおにいさん』で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
132
ここは上州満徳寺。妻から離縁の申立てが出来るだけでなく、夫婦では無い男女の縁切り(執心切れ)もできる『人生の雨宿りをする場所』なのだ。凛とした尼住職・慈白、夫と 死別し自らここに来る誰かの助けにと尼僧になった智栄、寺役人の添田。自らもここで縁を切り、その添田と共に駆け込み女を支えようと決めたなつ。満徳寺に駆け込む全5話はただ縁を切るだけではなく、元の鞘に収まる話や自分の心の解放という感じの話もあって・・いつの世も変わらないものはあるのだと面白く読んだ。雨が止んだら前を向いて歩き出せば良いんだってことだ。2024/05/23
タイ子
74
以前も縁切寺が舞台の小説を読んだことがあるけど、これはそれとはまた違った人生模様が描かれていて良かった。かかあ天下とからっ風で知られる上州、舞台の満徳寺は徳川幕府公認の寺で住職はお姫さまではないかと噂される尼。夫が浮気、縁を切りたいと駆け込んだ先にいたのは何と、夫の浮気相手。どいうこと?いや、こっちが聞きたいわ。ここでひと悶着あるのは当たり前、すったもんだの挙句が…。この妻が最終巻で予想外の人生を見つけるってこの物語いいわ~。他にも小姑との関係、継母と義娘の葛藤。人生いろいろ、一歩踏み出す勇気さえあれば。2024/06/12
優希
44
縁切寺が舞台の連作短編でした。色々な事情を抱えた女性たちが離縁を願って駆け込んできます。勿論離縁が解決策だけというわけではなく、女性たちの心に寄り添うことで癒していく。そのおかげで救われる女性たちは一歩ずつ前に進んでいくことができるのですね。読んでいる自分もまた力を貰ったような気分です。2024/10/14
Mc6ρ助
18
井上ひさしさんの「東慶寺花だより」や藤原緋沙子さんの「隅田川御用帳」など、駆け込み寺の話は面白い。だから、駆け込み寺と聞くと興味津々(、それが出歯亀根性からくるものではないと信じたいが)、いや増す期待を裏切らない連作短編集でした。とはいいながら、Careを家庭に押し付ける自公維新が怖いという感想をこの本から抱く爺さまも大概ではないかと思ってもいるのでした。2024/08/30
みやび
0
☆42024/06/10