出版社内容情報
捜査一課から地方の警部交番に“流刑”された女性警官の罪と再生。元・白バイ隊員の著者が、警察の本分を問い直す傑作警察小説!
内容説明
元捜査一課の南優月は、被疑者の護送中に起こした事故が理由で「流刑」に。警察署が不要となり格下げされた、過疎地の警部交番で、禊の日々を過ごしていた。そんな辺境の地に突然、キャリア警視正が赴任する。時を同じくして、地元の名士の妻が殺害され、ともに犯人を追うことに。謎が謎を呼ぶ捜査の行方は。矜持を見失った警察官の行く末は。元白バイ隊員の著者が書き下ろす、迫真の警察小説。
著者等紹介
松嶋智佐[マツシマチサ]
1961年大阪府生まれ。警察官を退職後、小説を書き始める。2005年「あははの辻」で第39回北日本文学賞、06年「眠れぬ川」で第22回織田作之助賞、17年『虚の聖域 梓凪子の調査報告書』(「魔手」を改題)で第10回島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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ミスランディア本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
113
元女性警察官の作品をいくつか読んできてるので、その流れで新シリーズも読んでみました。被疑者を護送中に起こした事故で捜査1課から警部交番(このような交番があるのは知りませんが)へ流警(左遷)された女性刑事が、自分の希望(実際にはある事件を調べる)でこのセクションに来たキャリアの警視正と一緒に殺人事件を解決していくという話になっています。設定は面白いのですがエンターテイメントに徹底してもいいのではないかという気がしました。2024/12/27
タイ子
96
松嶋さんの警察小説らしく今回も小規模な警察が舞台。元は所轄警察署なので建物自体は大きく3階は職員寮となっていて、ここにキャリア警視正が新しく赴任してきた。本作の主人公・南優月は元捜査一課の刑事だったが、ある事件が元で今は警務係。警視正の榎木も何か過去にありそうで松嶋さんはこういった訳ありの警察官をあの手この手で上手く描くのが上手い。殺人事件はあまり興味を惹かれるものではないが、後半に描かれる台風で山崩れのシーンはリアル感満載。巻末の黒川さんとの対談が良い!さすが黒川さん作品のツボをついてらっしゃる。2023/08/19
ma-bo
88
元捜査一課で被疑者の護送中に事故を起こした南優月は、過疎地の傘見警部交番(警察署からの格下げとの事)に「流警」させられた。そんな警部交番にキャリア警視正榎木が赴任してきた。しかも優月と同じ寮(交番の上階の空部屋を寮としてる)にも、住むことに。そんな中地元の名家の奥様が殺害される。捜査の行方は?榎木の赴任の目的は?優月の行く末は?2025/01/13
ぶち
74
初の女性白バイ隊員であった著者が書く警察小説。 捜査一課から地方の警部交番に"流刑"されたという過去を引きずってはいますが、女性を主人公にしたのが良いと思います。殺人事件がおきますが、凄惨なものや、陰惨なものとなっていない点が良いです。なにか軽やかさがあって、それが"作り物"ではない自然な話に思えるんです。ただ、不倫が3件も絡んでくるのは、さすがにちょっと… (笑) 巻末に黒川博行氏との対談が載っているのですが、黒川氏のアドバイスにように続編を描いたらとっても面白くなりそうです。2024/12/13
ノンケ女医長
60
タイトルはどうしても「流刑」をイメージさせるので、身構えながら読んだ。不倫や証言の偽装、元警察署内に交際女性を無断で入れてしまうなど、不埒な警察官が複数登場。でも、それら行為の顛末は深掘りされず、ぐいぐいと半ば強引に話が進む。作品の終焉で建物が崩壊するのは、もうお約束なのだろうか。署長補佐との肩書きで登場する36歳の警視正、立ち位置が良く分からなかった。納得いきにくい終わり方で、残念に感じられた。2024/10/13