出版社内容情報
「きみのマンガ、映画化決定ね!」同級生の天才女子高生監督ハルから、そうオファーされたナオトだったが……。傑作青春小説!
内容説明
「きみのマンガ、映画化決定ね!」ナオトは同級生の天才女子高生監督・ハルから、突然そう告げられる。小学生の頃にナオトが描いた『春に君を想う』を撮らせてほしいと言うのだ。いまだにその作品を超えるマンガを描けていないナオトは、迷いながらも映画部に参加することに。だが、ハルは大きな秘密を抱えているようで…。創作への情熱と優しい“嘘”に涙が溢れる、せつないほど眩しい青春小説。
著者等紹介
友井羊[トモイヒツジ]
1981年、群馬県生まれ。國學院大學文学部哲学科卒業。2011年『僕はお父さんを訴えます』で第10回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、12年小説家としてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
48
高校生が部活で映画を作る。映画とは果たして何か。物語のさなか、監督である木崎ハルは、「演技の奥から」の力を全く信じていないと言い切る。「嘘」であるとも。偶然ハルに見られてしまったマンガが元で、ナオトは真夏の撮影につき合うことになる。そこに家庭の問題がからんでいく、いや、しかしこの作品って? 前に読んだ2作と……が違っているのかな? それはさておき、ナオトの視点からは、ボーイ・ミーツ・ガールな展開には思えないのだが、果たして本当のところはどう? 少なくともオビに想起させられる期待感よりも上。うん、すごい!2024/01/31
よっち
40
過去に描いたマンガをなかなか超えられず苦悩していた高校生のナオト。そんな彼のもとに学生向けの映画で受賞している同級生の天才女子高生監督ハルから映画化オファーが舞い込む青春小説。最初は小学生の頃に描いたマンガの映画化に乗り気でなかったナオト。しかし映画製作の過程で改めて作品の本質に向き合うことになり、一方で大きな秘密をひた隠しにするハルとぶつかりあいながら絆を深めてゆく展開で、葛藤と情熱が入り交じる形で進行する物語の構図は一見とてもわかりやすくて、だからこそ意外に思えたその結末には上手いなと唸らされました。2023/07/20
ソラ
13
無理があるかなと思いつつもこれはハッピーエンド。 ハル表記は主人公が書いた作品扱いでエピローグが作品の中での実際本人たちの本当の話という理解で合っているのなら。2023/07/29
フジッコ
9
初めは、薄っぺらい話かな?と思ってしまったけれど、読み進めるうちに、そうでもないなと感じた。嘘ってそういう事やったんか!と膝を打ち、しかし冒頭に戻ってみると結局・・・・。泣きそうで泣けなかったけれど切なさが込み上げてしんみり。切ないって感情は、人間だけのものらしいけど人間でよかった。映画にかける情熱、周囲の支えどれが欠けても映画は作れない。映画に限らず、支えてくれる人の存在は本当に感謝しかないだろう。いい小説は心を豊かにするなぁ。2023/08/04
qoop
7
ワンアイディアを活かすための練られた構成で、多少強引でも疾走感を持って読ませるパワーがある。作中の〈作品の持つ歪みが魅力的で、強く訴える情熱が感じられる〉を地で行く青春小説だった。2023/09/16