出版社内容情報
愛情たっぷりの優しいかつ丼。もちもち、幸せの米粉パン……。食べることの本当の喜びを教えてくれる、史上最高のごはん小説!
内容説明
ダイニングカフェの新規開店に向け、看板メニューのカレー開発に励む璃空。一方で、妻の杏南はワンオペ育児で疲弊していて…(「スパイスの沼」)。若きパン職人・照星は、小麦アレルギーでパンを食べられない子供と出会う。それなら小麦不使用の超絶うまい米粉パンを俺が作る!と決意するが…(「ハッピバースデー・トゥー・ユー」)。食べることの本当の幸せを教えてくれる、最高のごはん小説!
著者等紹介
行成薫[ユキナリカオル]
1979年生まれ。宮城県仙台市出身。東北学院大学教養学部卒業。2012年『名も無き世界のエンドロール』(『マチルダ』改題)で第25回小説すばる新人賞を受賞してデビュー。21年『本日のメニューは。』で第2回宮崎本大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モルク
115
東京から3時間「本日のメニューは。」と同じ地方都市にある商店街の4軒の店の連作短編集。夫が失踪しとんかつ屋を継いだ妻、常連となった一人のボクサーのために作ったカツ丼が…の「ほほえみ繁盛記」と最終話の米粉のパン屋さん「ハッピ・バースディ・トゥ・ユー」が好き。この4話目で小麦、卵のアレルギーを持つ子供になんとか食べさせてあげたいと4軒の店が工夫する。試行錯誤しながら食の楽しみを伝えたいという思いに涙する。食べたときおいしいと思ってもらえること、言われなくとも笑顔になってほしい。人を笑顔にする作品。2024/10/08
やっちゃん
95
解説で気づいたけど続編だったのかと思い出した。「とんでもないパワー系変質者」と言われた彼を筆頭に魅力的なオトコが多くて楽しい。実里ちゃんと同じく食にこだわらないおじさんとしては、もっと作り手の気持ちを考えて食べなければと反省。しかしお腹の空く小説だ。2023/12/06
Karl Heintz Schneider
94
飲食店を巡る4つの物語。前作と違うのは、各章の初めに描かれるフードデリバリーの女性のつぶやき。単調になりがちなこの手の本のアクセントになっている。本書は4つの物語から構成されているが第4話の「ハッピーバースディトゥーユー」が特に良かった。小麦アレルギーの子供でも食べられる米粉パンを作ろうと奮闘するパン食人の青年に胸が熱くなった。そして彼の熱意に共感した1~3話の主人公たちが再登場しまた前作の店主も巻き込んでゆくまでの過程は圧巻。このシリーズ、続編熱望!2023/03/14
H!deking
93
お待ちかねの薫先生の新作は連作短編ですね。いやー実に素晴らしいです。料理の描写が素敵すぎてめちゃくちゃ腹が減ります。とんかつ、カレー、ラーメン、パン。個人的に好きなのばっかりでヤバいです笑 相変わらず薫先生は会話のテンポ感とか良いですね。軽い感じと思わせつつ毎回ラストはちゃんとホロッとさせます。さー今日は何食べよー!2023/03/15
ジュール リブレ
84
2022年大晦日、今年最後の一冊は美味しそう、温かそうな一冊。かつ丼、カレー、ラーメン、パン。とっても大衆的なメニューばかりだけれど、それぞれのお店に関わる人たちのつながりの温かいこと。美味しそうなこと。ほっこりできる一冊でした。2022/12/31