出版社内容情報
20年来の夢を賭け、中国・西安からパキスタン・イスラマバードまで、6700キロのシルクロードの旅へ! 感動の紀行エッセイ〈新装版〉。
内容説明
著者が二十年来の夢を賭け、飛び込んだのは「生きるためにしたたかで烈しく勇気のある人々のいる、シルクロード六千七百キロの旅」だった!殺伐とした日本を抜け出して、仲間と共にいざ、中国・西安からパキスタン・イスラマバードへ。文明と民族の十字路で出会ったのは、壮大な景色とそこで生きる人々の汗と生活。そして、予想を超える困難の数々で…。感動の紀行エッセイ新装版第一弾!
目次
旅の始まりに
第1章 少年よ、歩きだせ
第2章 麦の道
第3章 麻雀を考えついた国
第4章 ターパンツィー
第5章 風の底
第6章 星星峡への憧れ
第7章 天道、是か非か
著者等紹介
宮本輝[ミヤモトテル]
1947年3月6日兵庫県生まれ。77年『泥の河』で第13回太宰治賞を受賞しデビュー。78年『螢川』で第78回芥川龍之介賞、87年『優駿』で第21回吉川英治文学賞を受賞。2004年『約束の冬』で第54回芸術選奨文部科学大臣賞文学部門を、09年『骸骨ビルの庭』で第13回司馬遼太郎賞受賞。また同年、紫綬褒章を受章。19年「流転の海」シリーズが完結し、第60回毎日芸術賞を受賞。20年旭日小綬章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
102
宮本さんが1995年にシルクロードに行った時の紀行エッセイです。西安からイスラマバードまでを通訳を含めた5人(宮本さん、新聞社の記者2名、宮本さんの次男、中国人通訳)で40日間かけて車で移動した記録です。当時のこの地域ではやはり衛生が戦後の日本と似たような感じを受けました。一切生水はだめということで大変苦労していたようです。この第1巻目では兵馬俑のある西安から火焔山までの行程となっています。通訳とのやり取りが結構面白く楽しめました。2023/10/13
aika
39
インドから伝わった仏典を漢訳するという偉業を遂げたものの、自身にまつわる記録は何一つ残さなかったという鳩摩羅什の足跡を、お腹をくだしながら、想像を絶する急斜面、砂漠、灼熱地獄のシルクロードで体を張って旅する輝さんと仲間たち。ガイドのフーミンちゃんが現地の中国人たちに「アイツ馬鹿ネ」とすぐ悪態をつくのが笑えます。部外者と前提しながらも、文革の傷痕が癒えない中国という国家に対する率直な思い、そしてその大地であまりにも過酷な労働に身を投じ、今日食べることさえままならない人々への憐憫が胸に迫りました。2023/05/02
pirokichi
23
鳩摩羅什を知り感銘を受けた著者は、その20年後の1995年48歳時、北日本新聞社の記者や二男・大介氏ら4名と共に、鳩摩羅什の足跡を辿る西安からイスラマバードに至るシルクロード六千七百キロの、約40日間に渡る車の旅を成し遂げた。本書は西安から新疆ウイグル自治区トルファン手前迄の、約2週間の旅の記録である。土地土地での断想が胸に響く。また案外短気だったり毒舌だったり、お腹が誰よりも丈夫だったり…中国側ガイドフーミンちゃんとの生き生きとした会話などから著者の生の魅力を感じられたのもよかった。続きも楽しみ。2023/02/03
もえ
18
新装文庫版。作者は48歳の1995年に40日かけてシルクロード6,700キロの旅をした。その旅は過酷で、後に大病して手術をした時も、あの旅から無事に帰ってきたのだから大丈夫と思えた程だった。1巻目は西安から火焔山までの道のり。5人の旅のメンバーも、通訳兼案内人のフーミンちゃんも、水の悪さで常にお腹を壊している。トイレ事情も最悪。そんな悲惨な旅ながらも鳩摩羅什の軌跡を辿りたいという作者の思いや、中国奥地の実態がよく伝わってくる。作者とフーミンちゃんは時々言い争うが、日本と中国の関係を思うと仕方ないのかも。2023/06/14
アリ子
7
西安からイスラマバードまで6700キロのシルクロードのドライブの旅のうち、本著では西安からウイグル自治区に入ったあたりまでが書かれているが、のっけから過酷な旅であったことが伝わってきた。読むのもなかなか大変だった。2023/11/05