出版社内容情報
事故物件を貸すひと、住むひと。この街では様々な事情を抱えた人びとが生きている。ルームロンダリングにまつわる8つの物語。
内容説明
あなたはなぜ、そこに住むことを決めたのですか?間取り、家賃、駅までの距離。そして、かつてその部屋にどんな人が住んでいたのか―。自殺や殺人事件のあった、いわくつきの物件に一時的に住む「影」、部屋を紹介する相場不動産、姿を消した人を探す会社「失踪ドットコム」。都会のすき間に根ざすささやかな仕事、ルームロンダリングにまつわる様々な人間模様を紡いだ8つの物語。
著者等紹介
原田ひ香[ハラダヒカ]
1970年神奈川県生まれ。2006年「リトルプリンセス2号」でNHK創作ラジオドラマ大賞受賞。07年「はじまらないティータイム」ですばる文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
馨
171
ナツイチがきっかけで購入。不動産(ロンダリング)連続短編集。中途半端に話が終わって煮えきらないなぁと思ったら最後の話で全部回収してくれてすっきりしました。事故物件にタダで住む仕事があることは他の小説でも読んだり、昔不動産屋に勤めていたので興味深かった。まあちゃんはさしずめ、野呂佳代さんのイメージでした。2024/07/21
あすなろ
131
東京ロンダリングのスピンアウト的位置付けの一冊。僕は正直、前作東京ロンダリングを超える物ではないと感じた。ただ、所謂人の隙間、つまり失踪とか世から外れたいとかは誰にでも実行するか否かは別として人生のバイオリズム的にあるものだと思う。それを不動産に絡めて描くのは秀逸だと前作含め思うのである。2022/10/23
のぶ
131
読み始めて「東京ロンダリング」の続編だと知った。そちらは未読なので全体の流れにやや分かり難いところがあった。8篇からなる連作短篇。相場不動産を舞台にそれぞれの事情で巻き起こる住宅に関する物語。様々な登場人物と状況が飛び出してきてユニークだった。アパート管理を押し付けられ奮闘する、きちんとした性格の専業主婦。浮気ばかりし続けた揚げ句に妻から家を追い出された、いい加減な性格の夫、等々。失踪もテーマの一つとなっていて、そちらも興味を持って読んだ。ただ個々の事情に共感できたかどうかは疑問を持った。2022/05/31
エドワード
125
人が死んだ部屋―事故物件に入居する仕事、東京ロンダリング第2弾。相場不動産と失踪ドットコムの社員たち、まあちゃん、仙道、町田たちが様々な理由で部屋を探す人々をロンダリングへ誘う。「怖いのは幽霊よりも、東京の家賃です」東京は魔都だ。土地は恐ろしい。アパート経営の加島康江のバイトの後輩、学生の遠藤圭吾が、まあちゃんの前では大学教授である謎、どうなっているの?前作の主人公、りさ子も後半に出て来る。一番ビックリしたのは解説で原田さんが「ロンダリングは〇〇です」と語ったこと!何たるリアリティ!見事に騙されたよ!2022/07/07
レモングラス
121
「うちの部屋で人が死んだら」義父が残したアパートで人が死んだ。何もしない考えようとしない夫に代わり対策を思案する妻。事故物件になると人が入ってくれないが、そういう物件に人が一ヶ月だけ住むと、次の入居者には説明責任を回避できるロンダリングがあると聞く。ロンダリングという職業は著者の創作。事故物件にまつわる人間模様8遍短編連作。あまりの面白さ、ハッとする言葉、魅力ある登場人物に心持っていかれる。爽快感の中、読了。前作の「東京ロンダリング」未読でも楽しめる。失踪って必要なのか。人との絆や生き方、考えさせられる。2023/03/19
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