出版社内容情報
長年行方不明だった義兄の登場。
崩れ始める、平穏だった家族関係。
ある一つの悲劇をきっかけに、
すべての景色は一転する。
会社員の夫・秀嗣、五歳の息子・洸太、義母の治子と都内に暮らす折尾里佳子は、主婦業のかたわら、フリーの校閲者として仕事をこなす日々を送っていた。
ある日、秀嗣がサプライズで一人の客を家に招く。その人物は、二十年間以上行方知れずだった、秀嗣の兄・優平だという。現在は起業家で独身だと語る優平に対し、息子本人だと信用しない治子の態度もあり、里佳子は不信感を募らせる。しかし、秀嗣の一存で優平を居候させることに。それ以降、里佳子の周囲では不可解な出来事が多発する。
『代償』『悪寒』の著者が贈る、渾身のサスペンス&ミステリ。
内容説明
家族4人で平穏に暮らす里佳子の前に突然現れた1人の客。夫の秀嗣が招いたその人物は、20年以上音信不通だった秀嗣の兄・優平だと名乗る。しかし姑は「息子はこんな顔じゃない」と主張。不信感を抱く里佳子だったが、優平は居候することに。その日から不可解な出来事が続き…。家庭を侵食する、この男は誰なのか。一つの悲劇をきっかけに、すべての景色が一転する。緊迫のサスペンス&ミステリ。
著者等紹介
伊岡瞬[イオカシュン]
1960年東京都生まれ。2005年『いつか、虹の向こうへ』で第25回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をW受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イアン
169
★★★★★★★☆☆☆静かな狂気がおぞましい伊岡瞬の長編サスペンス。フリーの校閲者・里佳子の家に、突然夫の実兄を名乗る男が現れる。その直後から里佳子の周辺で不可解な出来事が次々と起こり始め…。20年以上音信不通だった義兄の他にも、義母やママ友など性格の歪んだ人物ばかり。その歪みの原因こそがミステリの核となるが、熟練者なら序章を読んだ段階である事実に気付くかもしれない。校閲者の仕事は興味深かったが、自分がこの作品の校閲者なら、P309は「〝護岸されており〟ではなく〝護岸があり〟の方が良いのでは?」と書きます。2021/10/18
まさきち
142
夫の母と同居し、夫と愛息子と幸せに暮らしていた里佳子。自宅での校閲の仕事も順調な彼女の家に、21年前に生き別れた夫の兄が姿を現し、その頃から身の回りで不審な事が相次ぐ。彼に対する里佳子の不信感は日に日に増し、周囲との不協和音も増す中で彼女は孤立していく。この盛り上げ方が絶妙で、頁を捲る手が止まらず、いつことが起きるのかとドキドキしながら終盤に差し掛かった所で一気に展開が反転。話の端々に散りばめられていたパーツがピタッと合わさる所は本当に楽しめました。今度は最初からパーツを集めながら読みたいと思う一冊です。2023/03/01
のり
141
校正・校閲の仕事を持つ「里佳子」は几帳面で慎重過ぎる性格の為に仕事面では天職と言えるが、プライベートでは神経過敏が自ずと心配の種を増やす。そんな折に20年以上音信不通だった夫の兄が突然現れる。小さい子供を抱える身として、得体の知れない義兄に不信感をもつ。近所でも不可解な事件が多発。あまりにも知らない事だらけの人物が急に住み着く事になり、精神が波打つ。不審者と被害妄想の対峙。過去の悲劇が全てを狂わせる。2022/03/10
JKD
137
ある日突然義兄が居候をはじめる。やがて妻の里佳子は安穏な生活環境に微妙な違和感を抱き始める。怪しい。なんだか知らないけど、怪しい。いつもの生活にない微小な誤差にも敏感に反応して警戒レベルはぐんぐん上がる。それでも何が怪しいのかわからない。そして後半、義兄との対峙シーンになりドキドキハラハラ。と思ったらまさかの急展開。ジェットコースター級の読みごたえで大満足でした。2021/10/17
やっさん
135
★★★★★ まず、わずか6ページのプロローグが怖すぎる。そこから不気味さは徐々に加速していき、不審者の行動もだんだん大胆になり、結末はまさかの・・・!2023/11/11
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- 和書
- 地獄の花 岩波文庫