出版社内容情報
原発事故の翌年、空間線量を測りつつ奥の細道全行程を目と耳と足で確かめながら旅した記録。日本エッセイスト・クラブ賞受賞作。
内容説明
東日本大震災の翌年。著者は放射線量計を携え、芭蕉の『奥の細道』全行程約二千キロを辿る旅に出た。折り畳み自転車を漕いで行き、時には列車や車も利用。津波被害や放射性物質汚染を被った地域では、無言の奮闘を続ける人々に出会う。三百年前の俳諧紀行に思いを馳せつつ、放射線量を測って進む旅。被曝に怯えと逡巡や葛藤を抱きながら、“生きる”を考えた魂の記録。日本エッセイスト・クラブ賞受賞作。
目次
忘れてしまうこと―まえがきにかえて
1 深川~白河
2 かげ沼~平泉
3 尿前の関~村上
4 新潟~大垣
その後―あとがきにかえて
著者等紹介
ドリアン助川[ドリアンスケガワ]
1962年東京生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学科卒業。明治学院大学国際学部教授。作家・歌手。日本ペンクラブ常務理事。長野パラリンピック大会歌『旅立ちの時』作詞者。第二筆名明川哲也も交え、著書多数。小説『あん』が、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、中国など13言語に翻訳され、2017年フランスの「DOMITYS文学賞」と「読者による文庫本大賞(Le Prix des Lecteurs du Livre du Poche)」の二冠を得る。19年、『線量計と奥の細道』で第67回日本エッセイスト・クラブ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しーふぉ
18
松尾芭蕉の歩いた道を自転車で辿る旅のエッセイ。東北を巡るなら放射線の値を計測もしようという趣旨。筆者は線量計を記録することで、必死に農作物を作る人々に悪いのではないかと葛藤する。線量計の計測はいらなかったのではないか?2024/12/11
ばななな
7
自分が住むこの国のために、何ができるか? 震災、原発わからないなりに、作者が体当たりで行動をしていく。 意味はないのかもしれない。それでも自分の足で自転車をこぎ、自分の目ーで見て、その場にいる人と関わる。自分の心で感じようとして、悩む。 そんな等身大のノンフィクションが、とても心地よかったです。 2021/11/08
けん
4
★3.52024/08/17
ターさん
3
『おくのほそ道』を読んでいると友人に言うと、「これを読んでみたら」と渡された。大震災後、ドリアン氏は全行程六百里を旅した。旅のお供は線量計。道中、放射線量を計測していく。芭蕉が旅した場所に、「分け隔てなくセシウムを降らせた」著者は災害の真実を知りたいという気持ちで計測する。しかし、それが「多くの人を傷つけてしまうことになるのではないか」と考えるようになる。最初は自転車で旅を始めるが、列車や車で移動するようになる。芭蕉だって、馬や船を使ったりした。40年前、東北を自転車で縦断した。一生忘れられない旅だった。2023/01/14
takao
2
ふむ2023/01/05