出版社内容情報
「日本一の嫌われ者」石田三成とは、いかなる人物だったのか。十人の実力派作家がその素顔に迫る、時代小説アンソロジー。
内容説明
“日本一の嫌われ者”石田三成とは、いかなる人物だったのか―。豊臣秀吉の下、随一の頭脳派武将として辣腕を振るった彼は、死後四百年経った現在でも評価が大きくわかれる。秀吉との出会い「三献茶」から関ヶ原での敗北に至るまで、十人の実力派作家の作品を時系列に並べて歴史的評価の変遷を辿る、画期的な短編アンソロジー。あなたの三成像を変え、新たな小説の楽しみ方が発見できる一冊!
著者等紹介
山田裕樹[ヤマダヒロキ]
1953年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、集英社に入社。集英社文庫編集長、小説すばる編集長、文芸編集部部長、集英社クリエイティブ取締役を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
55
小才子、策士、奸賊、横柄、傲慢、陰険、理屈屋、戦下手、算盤侍、陋劣、小賢し・・・。三成につきまとう悪意のあるレッテルの数々。しかしそれはほんとうなのか。その程度の男に西国の名立たる大名を結集して「関ヶ原の戦い」に挑むことができるだろうか。否。徳川の御用学者の捏造した誹りの類いであろう。いわゆる「勝者の歴史」というやつだ。そうした思いが本書の編者・山田裕樹氏にあってこの本が生まれた。私も心を同じくする者である。ただ「石田三成復権」には成功しているとは言い難い。それが少々残念ではある。2023/01/05
ポチ
55
三成が主人公や脇役だったり、惹かれる話やいまいちな話など10の短編。松本さんの『美しい誤解』は楽しめた。実は真相なのかも。2021/08/10
けやき
55
石田三成に関するアンソロジー。様々な三成像を楽しめました。伊東潤さんの「戦は算術に候」と矢野隆さんの「我が身の始末」が特によかったです。2021/07/22
鬼山とんぼ
15
面白かった。戦国のクライマックスというべき関ケ原の合戦を深く理解する上では、安部龍太郎の作品群を読むのが近道であるが、この本も相手方を知る副読本になる。才走って人情を軽んじる人物像が定着しているため、石田三成ほどその知名度に比して主人公に取り上げられることが少ない武将は稀だが、編者の山田さんは驚くべき観察力で佳作を探索し、見事なアンソロジーに纏め上げた。ファインプレーと言うべきだろう。作品としては『義理義理右京』『戦は算術』が見事と思ったし、変則的作品ながら五味康祐の天衣無縫の筆力には驚かされた。2024/07/07
マツユキ
15
FGОで興味を持った石田三成、大河のキャストが発表されたので、読んでみました。組織に嫌われ役は必要ですが、いざと言う時は、人望は必要だよね。切ない。三成の息子が登場する『佐和山炎上』(安部龍太郎)と、三成の最期を描く『我が身の始末』(矢野隆)を続けて読むのが、辛かったです。長編の一部である『結局、左衛門太夫は弱かったのよ』(岩井三四二)は一作全部読みたい。唯一の既読だった『戦は算術に候』(伊東潤)はアンソロジーで読むと、理解が深まったような気がします。松本匡代、吉川永青作品は、もっと読みたい。2023/06/29