出版社内容情報
東京藝大あるあるも満載! 「仏さま研究室」の過酷な修了課題「模刻」に悪戦苦闘する学生たちを描く、クスっと笑える青春小説。
内容説明
2浪、3浪は当たり前、時には10浪以上の学生も…パンダと桜で賑わう上野公園に隣接する東京藝術大学。通っている学生も教授も少し変わった人ばかり。そんな東京藝大で、仏像の保存について研究する通称「仏さま研究室」の修了課題は、なかなか過酷で学生泣かせだ。様々な思いを抱え、真心を込めながらも、「模刻」に悪戦苦闘する学生たちを描く、クスっと笑えてグっとくる青春ストーリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
420
本書は東京藝大の文化財保存修復彫刻研究室を舞台に描かれる。私たちの多くにとって、東京藝大は闇の中にあるのだが、ここではそれを小説仕立てで語ってみせるのである。ただ、小説の方法をとったことは功罪相半ばするだろう。面白く読めてわかりやすくはあるのだが、その反面でどこまでがほんとうなのかわからないのである。少なくても仏像史と、その修復にかかわる部分にはフィクションは含まれていないのではないかと思うし、そこでの蘊蓄はそれなりにタメにはなりそうだ。また、エンターテインメント小説としては面白いのではあるが。2023/07/30
mae.dat
281
東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室の修士課程の修了制作に学ぶ学生の群像短篇4話+プロローグ、エピローグ。普通は新しい表現方法を模索するものだと思われますが。それとは異とし、仏像の修理や復元を主とする通称「仏さま研究室」の特殊性から、青春小説と言うよりもお仕事小説に近いのかもと感じました。中々知り得ない世界です。四者四様独特の苦労がありますね。其々の苦悩や葛藤なんかを通じて仏像とは、美術とは、材料とは……etc.をみせてくれます。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いな儂にも楽しめましたよ。2025/04/11
みっちゃん
172
仏像の保存、修復について研究する通称「仏さま研究室」天下の東京藝大と仏像を結びつけて考えたことはなかったな。院の修士の修了課題は1人1体の仏像を再現する「模刻」緻密に採寸、計算を進める作業はアートというよりはもはや科学。芸術を志した者ならではの将来への不安を抱えながら、作業に打ち込む若者の姿は暗くなりすぎず、時にはユーモアがあり、読んでいるだけの自分も元気を貰えた気がする。清々しい読後感の1冊。2021/05/31
あきぽん
129
東京芸大大学院で仏像を専攻する学生の話。特殊な専攻だけど、変人ではなく普通の若者の青春物語だった。もちろん仏像についての興味深いうんちくも学べる。そういえばパラリンピックでは障害を持つ彼らが普通の若者であることが周知されたよね。2021/09/18
ぶち
122
仏さま研究室は、東京藝大大学院で文化財の保存修復の研究演習を行っています。そこでは独創性を重んじる芸術の世界とは相反する模倣の技術を学び、研究しています。言ってみれば芸術の精神とは葛藤する技術なんですね。この小説はその研究室で学ぶ若者の苦悩と成長の物語です。豊かすぎる個性の持ち主である学生たちの言動は笑いを誘う部分もありますが、彼らの苦悩にしみじみと共感したり、若い頃の昔を思い出してうるうるしたり、身に覚えのある似たような失敗に苦笑いしたり。そして、物語の中で披露される仏像や仏教の知識も嬉しいのです。2021/06/06
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